来年1月に37年ぶりに親子3代同時襲名する歌舞伎俳優松本幸四郎(74)市川染五郎(44)松本金太郎(12)が先日、東京・歌舞伎座で、ポスターなどに使う口上写真を撮った。

 撮影したのは写真家篠山紀信氏(76)。終了後、少し話を聞く時間があった。

 口上写真は通常、スタジオで撮影するが、歌舞伎座の舞台上で撮影が行われるのは初めて。篠山氏は、大きなライティングの機材を歌舞伎座に運び込んでいた。しかし、劇場に入った瞬間、篠山氏は、自分が持ってきた照明機材がまったく必要ないことに気付いたという。

 「歌舞伎座の照明って本当にすごい。来てすぐに、俺の持ってきたライティングはいらない、いらないって、言いました。例えば、スタジオでライティングすると、金びょうぶなんかはテカかってしまって難しい。でも、ここの照明だと本当にすてきに撮れる」。

 また、歌舞伎座という雰囲気がもたらす表情の変化を篠山氏は繊細に感じ取っていた。「歌舞伎座の出す空気感なのか、1人1人の表情に緊張感が見えていい。同じように見えるかもしれないけどリアルさがある」。

 当初、篠山氏は、なぜスタジオではなく歌舞伎座で撮るんだろう、と感じていたという。しかし、終了後は「感動しました」と興奮気味だった。37年ぶりの親子3代同時襲名という慶事、大イベントが、明るく華やかに歌舞伎座からスタートした。