作家伊集院静氏(67)が、「さよならの力 大人の流儀7」(講談社)を出版した。累計170万部超の人気シリーズの第7弾だ。雑誌「週刊現代」に昨年6月から今年2月までの人気連載コラムに書き下ろしを加えている。伊集院氏に聞いてみた。【小谷野俊哉】

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 「(原稿を精査することは)ないです。若い頃だったら、そういう事をしなきゃいけないけど、わからないけど、今はもう書いた文章が以前ほど、なおさなくてすむ状態と。ただ、これは『さよならの力』っていうタイトルっていう事になると、じゃ、さよならの力ってなんぞえ? って事。それに即した書き下ろしのものを数本、この中には入れてあります。第6弾までも、何本かあったけど、これは3、4本入っているっていうのは珍しいですね。どうしてかと言うと『さよならの力』という事は、どのくらいの幅をもつものかという事を読者に伝えた方がいいからね」

 雑誌の連載は、周囲の状況が変わっていく。政治、社会…。

 「もし、この連載の途中で、東北大震災のようなものがもう1回きたら、さよならの事だけ書いていられない。やっぱり週刊誌は生きているから、今一番人が聞きたいもの、それから読みたいもの。そういうものをしなくちゃいけない。だから、こういう風に『さよならの力』っていう風に統一をしてね。『さよならの力』っていうことは、こういう事なんだ、っていうためには、普段の週刊誌で書いているものよりも、何本かは加えなきゃいけない。それは今回の試みとしては、もしかしたらうまくいってるかもしれない。読み返してみたんだけども、意外と『さよならの力』の事は言ってるなというのがあって(笑い)ところが、『さよならの力』で、1年後、半年後に本にしますよと、都度、都度、書いて行くっていうのは無理がある。まあ、編集部の方も(本が出る)半年くらい前から言ってくれますからね。で、このテーマは、これに合うんじゃないかっていう感じでね。それと『さよなら』っていう言葉自体が幅が広いものだし、『力』は、まあ流行だから。まあ、そういう事ですね」