岡田准一(36)が4日、都内で主演映画「追憶」(降旗康男監督、5月6日公開)の完成会見と完成披露試写会舞台あいさつに出席した。14年に亡くなった高倉健さん(享年83)を撮り続けてきたスタッフが集まった作品で、岡田は俳優として、健さんを追い続けることを誓った。

 健さんと「鉄道員(ぽっぽや)」「ホタル」など7作品で撮影現場を共にした降旗監督(82)と木村大作カメラマン(77)が、岡田に健さんを重ねた。降旗監督は「高倉健さんを継ぐ俳優になってほしいという思いで仕事をしていました。人生を背負って生きている斜め後ろからの姿が共通している」。木村氏も「健さんは後ろ姿に人生全てを感じさせた。岡田君にもそういうものを感じました」と話した。これを聞いた岡田は「健さんは唯一無二のスペシャルな方。健さんの背中を追いかけて精進していけたら。1ミリでも、人間を映してきた健さんに近いことができたらと思います」と覚悟を示した。

 岡田は15年の日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞と最優秀助演男優賞をダブル受賞した時、健さんについて語った。健さんから、映画「七人の侍」などで知られる名優志村喬さんの記念館について「代わりに行ってほしい。勉強してきなさい」と伝言され、兵庫県朝来市にある記念館を訪問したと明かしていた。この日は、直接会ったことはないが、人づてに何度か助言をもらっていると明かし「話していない思い出もある」と俳優として多くの教えを受けてきたと語った。

 「追憶」のキャッチコピーを引き合いに「会いたくても、会えなかった人は誰か」という質問に、岡田は迷った末、海外の格闘家を挙げた。後で健さんの話題になった時「さっき、はぐらかしてしまいましたが」と言い添えた。健さんの名前を出したかったが、口にするのはおこがましい、という気持ちがあった。

 共演者から絶大な信頼を得る姿は健さんと重なる。岡田について長沢まさみ(29)が「誰よりも作品のことを思い、強くて優しい。神様みたい」と言えば、柄本佑(30)は「幹がしっかりしてて屋久杉のよう」。小栗旬(34)も「頼もしい主役がどーんと立ってくれている」と言った。

 昨年末から今年は「海賊とよばれた男」「追憶」「関ケ原」と、スケール感ある大作映画への主演が続く。健さんの思いを継ぎ、日本映画界を背負って立つ存在に成長しつつある。【小林千穂】

 ◆「追憶」 富山の漁港で起きた殺人事件をきっかけに親友だった3人が再会した。刑事の四方(岡田)、容疑者の田所(小栗)、被害者の川端(柄本)。3人は25年前、涼子(安藤サクラ)が営む喫茶店に身を寄せていた過去があった。常連客の光男(吉岡秀隆)を合わせ家族のような間柄になったが幸せな日々は突然終わる。四方の妻(長沢)、田所の妻(木村文乃)も加えた7人の人生や愛が描かれる。