「山のあな、あな」で有名な「授業中」などの新作落語で人気を集め、23日に結腸がんによる腸閉塞(へいそく)のため都内の病院で85歳で亡くなった落語家三遊亭円歌(さんゆうてい・えんか)さん(本名中沢円法=なかざわ・えんぽう)の通夜が26日、東京・青山葬儀場で行われた。

 以下は、通夜に参列した、令子夫人(73)、弟子の三遊亭歌る多(54)、三遊亭歌扇(45)のコメント。

 令子夫人 具合はよくなったり悪くなったりしていたものですから、急なことで驚きました。亡くなるとは思ってもいませんでした。でも、とてもよくお弟子さんがしてくれましたので助かりました。今日もとても喜んでいると思います。

「ありがとね」って言われたのが最後でした。そんなこと言わずに元気でって返しましたね。声が出ない時もあったんですけど、出るときは大きな声が出るんだから頑張ってねって言っていました。亡くなるちょっと前はすごく元気で、ご飯もよく食べていて。ビールも亡くなる2日前まで飲んでました。先生からもビールも栄養あるから飲ませていいって言われてましたから。本人も飲むって言って。(円歌は)わがままな人でしたよね。でも優しくて、ケンカもしましたけども。幸せな人生だったと言っていました。歳とってからはかわいい人でしたね。子どもに戻ったのかもしれないですけどね。

 三遊亭歌る多 私が(弟子の中で)一番体の自由がきくので、そばでお世話させていただきました。歌扇君もです。(円歌は)小言なんか言う人じゃなかった。細かいことは言いません。ただし、見てます。何かの時にまとめて言って、それが全部当たるんです。すごい人ですよ。放任主義で、自由にやれって言って、本当にのびのびとさせていただきました。最後の言葉は「母さんを頼むな」だったと思います。おかみさんのことをずっと心配していて、「弟子で集まって母さんのことを助けてくれな、手伝ってくれな」って。「母さん疲れてるんだよ」って言っていました。私にとっては天であり、神であり全てです。本当に弟子になれてよかったです。

 三遊亭歌扇 一番下の弟子ですから、できる限りのことをしました。私はしくじることが多かったんですけど、ある日、しくじった日に、師匠がタクシーで家に帰ってきて、出迎えながら、今日はすいませんでしたって謝ったら、(円歌は)黙ってるんですよね。で、部屋に入ったら、「お前、人前で頭下げるんじゃないんだよ。運転手も見てるんだから。しくじったことは許してやるよ。でも人前で頭下げるような芸人になるんじゃないよ」って言われました。優しい師匠でしたし、ありがとうございましたですね。