「第20回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の主演男優賞は、日本テレビ系「世界一難しい恋」でラブコメディーに初挑戦した嵐の大野智(36)が獲得した。木村拓哉(44)と並ぶ歴代最多4回目の受賞。慣れないジャンルの作品で、もがきながらも、いい意味の開き直りで新境地に達したという。

 トロフィーを受け取ると「おっ、ありがとうございます」と喜んだ。連ドラ初主演作「魔王」(08年TBS系)からハイペースで受賞を積み重ねてきた。

 好演の裏には葛藤もあった。演じた鮫島零治は、一流ホテルをいくつも経営する社長。しかし恋愛は不器用で、純粋だが素直ではない頑固者。何だか複雑な役どころだ。「監督が求めているイメージは分かっていたのですが、自分の中でうまくいっていないという感覚がありました」。

 苦境から脱することができたのは「無意識の境地」だった。「『つかめないならば、それでいいや』と思って、とにかく一生懸命やりました。それが逆に良かったのかも」と自己分析する。「あまり変に鮫島零治像を作っても自由がきかなくなる。意識しなくなって気づいたら零治になれていたと思います」。

 共演者にも支えられた。秘書役の小池栄子(36)は「撮影中も合間もずっと『秘書』って感じ。ほぼNGも出さない。僕は追い詰められて軽くパニックだったので、大分助けられました」と感謝する。ヒロイン役の波瑠(25)とは初めてキスシーンに挑戦した。「鮫島にとっても、あれが人生初のキスだったと思われるので、いい意味でリンクしたのかな」と笑う。