宝塚歌劇団の元娘役スターで、映画、ドラマでも活躍した女優月丘夢路(つきおか・ゆめじ)さん(本名・井上明子=いのうえ・あきこ)が3日午後1時50分に肺炎のため都内の病院で亡くなったことが8日、分かった。95歳だった。

 ここ数年は入退院を繰り返し、今年2月に体調を崩して入院。3日に長女で料理研究家の井上絵美さんにみとられ、息を引き取った。葬儀は近親者のみで営まれ、7月にも「お別れの会」を予定している。

 広島県生まれで、1937年に宝塚音楽学校に入学した。同期には越路吹雪さん、乙羽信子さん、東郷晴子さんらがいた。娘役スターとして活躍し、宝塚でも際だった美貌の月丘さんには男性ファンが多かった。42年、映画「新雪」でヒロインを演じ、その美貌も含め国民的な人気となった。退団後は大映、松竹と移籍し日活へ。日活の看板スターとして、同社黄金期を支えた。計100本以上の映画に出演した。53年には第3回NHK紅白歌合戦に初出場し、映画の主題歌「新雪」を披露した。

 57年、主演映画「火の鳥」の井上梅次監督と結婚。井上監督が2010年に亡くなるまで連れ添い、おしどり夫婦として知られた。71年に乗った車の事故で顔を傷つける重傷を負ったが、その後も映画、ドラマで活動を続けた。04年、82歳でミュージカル「マイ・フェア・レディ」に出演し、12年にテレビ朝日系「徹子の部屋」に出演したのが最後の仕事だった。14年には「宝塚の殿堂100人」に選ばれている。

 ◆月丘夢路(つきおか・ゆめじ)1921年(大10)10月14日、広島生まれ。39年、宝塚歌劇で初舞台を踏み、43年に退団。代表作は映画「美徳のよろめき」「ひろしま」「二十四の瞳」「夜の牙」、ドラマ「華岡青洲の妻」「犬神家の一族」「花神」など。