宝塚歌劇団雪組の若手スター、永久輝(とわき)せあが9日、兵庫・宝塚大劇場で、新人公演「幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)」に主演。新人4度目のセンターに立ち、リーダーとしての覚悟を吐露した。

 「長(新人最終7年目)の期の長(リーダー)として、責任を持っていこうと」。永久輝は新人最終学年の7年目。4度目新人主演にあたっての覚悟を口にし、終演後には安堵(あんど)の笑みを漏らした。

 今作の本公演は、雪組トップコンビ、早霧(さぎり)せいな、咲妃(さきひ)みゆのサヨナラ公演。永久輝は、あこがれの早霧の本拠地お披露目だった15年1月の「ルパン三世」で新人初主演し、最後の公演でも主演の大役を得た。

 「早霧さんの集大成の役をさせてもらえて、本当にうれしかった。今回は(本役が早霧の新人公演の役は)5度目ですが、初心に帰って、一から早霧さんのお芝居を勉強し直そうとおけいこしてきました」

 主役の佐平次は、無一文で大尽遊びに興じる設定。宝塚王道の二枚目ではなく、劇団きっての芝居巧者・早霧ならではの役作りを近くで見てきた。

 「早霧さんからは『よし次、よし次と、次々に起きる事件をひとつひとつ、しっかり区切りをつけてから次にいけば、流れるような芝居になるから』とアドバイスされ、そう考えて演じました」

 新人レベルを超えた難役だったが、早霧も、主演経験豊富な永久輝には、1歩進んだ助言を送っていた。

 永久輝は、170センチを超える長身を生かした華麗な立ち姿、シャープな美貌で頭角を現し、今年2月には、月組へ移った2年先輩の月城かなととのダブル主演ながら、すでにバウ公演主演も経験している。

 4月21日に本拠地で開幕した本公演では、3番手の彩風咲奈(あやかぜ・さきな)が体調不良で休演したため、物語の舞台となる相模屋の若だんな役の代演も務めた。

 「たいへんではありましたが、でも、あの役の経験は今回の(新人主演の)佐平次役に生きました」

 吸収する力も持ち合わせている。新人公演はこの後、6月29日に東京宝塚劇場での公演が残っており、永久輝は「長(リーダー)の責任として、東京では自分のことだけではなく、もっとお芝居をする相手の顔を見て、仲間にアドバイスもできたら」と言い、リーダーの自覚を強めた。

 そんな永久輝に寄り添う相手役を務めた野々花ひまりは、新人公演初ヒロイン。「お芝居に大切な新鮮さを失わないように、一生懸命、永久輝さんについていきたい」と話していた。