東出昌大(29)が16日、東京芸術劇場で行われた第26回日本映画批評家大賞授賞式で「聖の青春」で助演男優賞を受賞した。

 スピーチの中で、妻の杏と出会った13年のNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で兄妹役を演じ、この日新人女優賞(小森和子賞)を受賞した高畑充希(25)と会場で再会。「会うと、あの頃に戻れる。自分はあの頃は何者でもなかったし、実際のところ、今でも何者でもないんだと思います」と、受賞しても謙虚な気持ちになれたこと、謙虚な気持ちの大切さを語った。

 東出 今日は、他のところではしない話をしたいと思います。僕ら(東出と高畑)は「ごちそうさん」で兄妹役をやっていました。放送が始まる前、大阪の淀川に自転車でこぎ出して、たこ焼きだったりコンビニのおにぎりを買って、川辺で、くだらない話をしていて。彼女は、共演は1、2つさせていただき、本当にすばらしい女優さんだと前から知っていました。ただ、今日、本当に栄誉ある賞をいただけると、自分が何者かになれたんじゃないか、なってしまったんじゃないかという危機感を抱くんですけれども、本当にあの頃は何者でもなかったし、実際のところ、今でも何者でもないんだと思います。役者になって5年たちました。たった1回目の俳優人生…経験則で語れることはなくて今後、どういう役者になるか否かは予測と若干の希望的観測からしか予想が立たないのですが、謙虚な気持ち、日々を感謝する気持ちを持って、今後ともおごりを持たずに進めればと思います。

 TBS系ドラマ「あなたのことはそれほど」(火曜午後10時)の夫役で話題の東出だが、映画への愛は格別だ。「映画の現場が大好きです。ただ、クランクイン前日は胃が痛くて、なかなか晴れやかな気持ちで現場には入ることが出来ない。今まで、それが悪かったか、良かったのか分からないんですけど全力であったと思う。今後も全力で銀幕に存在したい」と、誠実に役と作品に向き合うことを誓った。【村上幸将】