「ルパン三世」「るろうに剣心」「ローマの休日」と話題作に主演し、唯一無二のトップ像を確立した宝塚歌劇団雪組トップスター、早霧(さぎり)せいなが29日、兵庫・宝塚大劇場で、サヨナラ公演「幕末太陽傳(でん)」「Dramatic “S”!」の千秋楽。名コンビを組んだ相手娘役の咲妃(さきひ)みゆとともに、本拠地に別れを告げ、最後は早霧体制になってからの雪組ポーズ「絆!」で締めた。

 14年9月のトップ就任からここまで、本拠地作全5作で観客動員率100%超えを達成している。「新世紀タカラヅカ最強」とも称される「ちぎみゆ」コンビのサヨナラショーは、デュエット場面を連発。カーテンコールは6回続き、両拳を腰に引き寄せる早霧体制になってからの雪組恒例の「絆!」で終わった。

 その「絆」の直後、幕前に早霧、咲妃が2人だけで登場。早霧が咲妃に「私ばかりしゃべってるので何か」と振ると、咲妃は「私の愛する人のイニシャルはS…。早霧せいなさんです」。サヨナラ公演のショーの主題歌を引き合いに、愛を表現。早霧は「ありがとうございまーす!」と大照れだった。

 男役絶対優位の宝塚で、早霧は咲妃に対等の立場を求め、咲妃も早霧についていこうと、懸命に伴走し、名コンビ「ちぎみゆ」が生まれた。ファンは2人のやり取りを「公開いちゃいちゃ」と呼び、トップ約2年半、楽しんできた。

 早霧は「こうして咲妃と3年やってきました。手のひらで転がされ続けて3年…。嫌だと言ってもついてきた咲妃に感謝いっぱいです。あ、後で(咲妃)に怒られるかな」と笑わせた。

 早霧は01年入団。ストイックな芝居への取り組み、卓越した芝居心で頭角を現し、小柄で細身の男役としてのハンディを抜群の運動神経で克服し、キレのあるダンスも武器にした。トップ就任後は「伯爵令嬢」「ルパン三世」「るろうに剣心」に主演するなど、宝塚に二次元原作ものを定着させた。

 早霧、咲妃らは、6月16日に東京宝塚劇場で開幕するサヨナラ公演「幕末-」の千秋楽、7月23日付で退団する。