奈良県警の交通課出身で、吉本新喜劇初の女座長就任が控えている酒井藍(30)が21日、大阪・住吉大社で、車の暴走を描いたフランス映画「ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~」(22日公開)成功祈願に出席した。

 「途中で日本で言う白バイ、出てくるんですけど、もう『はよ、捕まえてくれ』と。回り込み方がおかしいから、私が白バイに指示出したかった」

 今回の成功祈願にあたり、映画を見て、新喜劇入団前、交通取締の職に就いていた経験から、うずうずしていたという。

 「と言うても私、事務ばっかりやったんですけど」

 酒井は奈良県警に1年半勤め、交通課で事務を担当していた。女性違反者には女性の警察官が着く決まりがあり、1度だけ、事務担当の酒井が引っ張り出されたことはあったものの「現場には1回しか行かなかった」そうだ。

 ただ、当時は100キロ超えの今よりやせて体重80キロだったが「ベルトは締めたことがなかったので、違反者と腰でつなぐんですけど、どうしていいか分からなかった」とか。そんな酒井でも、“元交通課”の血がうずく作品だった。

 今作は、整形外科医のトムが、妊娠中の妻、9歳の娘、7歳の息子の家族と、おじいちゃんも加わって、自慢の最新テクノロジーを搭載した新車でバカンスへ出かけて始まる物語。その新車が故障し、大暴走する様をコミカルに描く。

 時速160キロで高速道路を暴走し、飲酒したおじいちゃんがハンドルを握る場面もある。交通違反だらけの展開に、酒井は「私やったら、まず妊婦さんの安静。お父さんは逮捕の方向なんで、子どもの前でできへんから、お母さんと子どもを病院へ送って、お父さんと逮捕の方向で話をさせてもらいますね」。優しさものぞかせながら、自分のかつての仕事とだぶらせた。

 ただ、飲酒のおじいちゃんについては「そこまでの展開がね、かわいそうなんです。あきませんよ! そら、飲酒は絶対あきませんけど、情が…」とも。くしくも、所属の吉本興業では昨年末から、タレントが当て逃げ事故、飲酒運転と車でのトラブルが続いており、こちらには「はい、私がきっちり取り締まりたい」と意欲? も見せた。

 26日からは大阪・なんばグランド花月での座長就任公演が控えており、今後は新喜劇メンバーの面倒を見ることにもなる。「もし今後、新喜劇のメンバーが何か、やらかしたら、私も現場検証に立ち会って、指導もしたい」とも話す。

 ただし…今は、そんなリーダーシップが発揮できるか、不安いっぱいの様子。「大先輩のチャーリー浜さんなんか、台本のセリフ2行でも、7分ぐらい舞台におる。私、先輩の暴走を止められるのか、心配です…」とポツリ。酒井自身は運転免許を持っておらず、愛車を暴走させる不安はないが、先輩の暴走へは心配が尽きないようだった。