高橋一生(36)がNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(日曜午後8時)で演じた小野但馬守政次(おのたじまのかみまさつぐ)の追悼アルバム「鶴のうた」が大ヒットしている。壮絶な死を遂げた先月20日の放送回3日後の23日に発売され、1カ月で2・5万枚を売り上げたことが25日、分かった。大河ドラマで登場人物1人に特化したサウンドトラックの発売自体が異例。ドラマや映画のサントラは売り上げ1万枚以上で大ヒットとされる中、異例の反響だ。「政次ロス」の多くの女性視聴者が手を伸ばしたとみられる。

 ドラマ音楽を担当した菅野よう子氏が、政次のさまざまな登場場面を想定して制作した曲から14曲を収録した。嫌われ役に徹しながら幼なじみの主人公・直虎を支え続けた政次が、はりつけにされて処刑された放送回は、高橋ファンらの間で「神回」といわれるほど話題を呼んだ。

 台本を読み、衝撃を受けた同氏が、初回盤に付く政次フォトブックを含めた追悼アルバムを企画・立案。同氏は「楽曲の多くは『赦し』に至る道を禅語に手を引かれ、トボトボと歩き出すという気持ちで作ったもの。犠牲となることを選んだ政次ですが、彼は幸福だったと思いたい、という気持ちもあります」。直虎へのラブレターにも受け取れると評判になった辞世の句は、ドラマ同様、高橋の朗読で収録。ドラマで未使用だが、政次が幼少から親しんだ禅語も高橋の朗読で収録した。

 発売初日にいきなり1万枚以上の注文が入り、品切れの店が続出。現在も追加生産中だ。高橋は「ただただ、ありがたいと思っております。こういった形でも反響をいただけたことは、心からうれしく思っております」と感謝している。さらに「撮影が終わり、抜け殻のようになっていましたが、この作品集を聴いてやっと、鶴(=幼少期の名前)と政次を、自分の一部にして次に進もうと思えました」と話している。【近藤由美子】