北野武監督(70)が25日、都内で新作「アウトレイジ 最終章」(10月7日公開)のジャパンプレミアに臨んだ。裏社会の抗争を描くヒットシリーズ完結編。シリーズ最大のヒットも期待されるが「長続きさせようと思えばできたが、1度死んだ人がまた出てくると『仁義なき戦い』になってしまう」と尊敬する故深作欣二監督の名作を引き合いに「引き際」を説明した。

 先月、クロージング作品で上映されたベネチア映画祭に参加した際も「これで一区切り」といい「(これからは)暴力映画は時代に合わないのでは」と話した。発表したばかりの純愛小説「アナログ」の映画化を示唆してきたが、この日は「恋愛映画を撮ろうと小説を書いたら、まぐれ当たり。これをやって失敗して(暴力映画以外で)もう1回失敗したら、またバイオレンスに戻ろうと画策している」と笑わせ、「何年かたったら、日本の役者オールスターズで、とんでもない映画を撮ってみせようと思っています」と本領発揮の野望も明かした。

 「アウトレイジ」について「現代社会の企業構造に似ている。私の役は古いタイプのサラリーマン。それが今は犠牲になるという話に変えることもできる」と話すなど、作品の普遍性、新たな楽しみ方を提案。バイオレンス映画への愛着も感じさせた。【杉山理紗】