92歳の桂米丸さんは本当に元気だった。新宿・末広亭での高座を終えた直後、近くのなじみの喫茶店での取材だったが、米丸さんは1時間以上もしゃべりまくったが、まったく疲れを見せなかった。

 話を聞いて、驚いたのは、今もしっかりと食欲があることだった。「3食ご飯専門なんです。戦時中、ひもじい思いをしたので、ご飯を食べないと、食べた気がしないんです」。妻が亡くなり、今は娘夫婦と同居しているが、3食を娘に作らせるのは悪いと、1食だけは外食にしているそうで、ハンバーガー店にも入るという。

 実は、米丸さんは肉が大好きで、10日に1回、なじみのステーキ店でサーロインステーキを食べるのが楽しみという。「5000円出して、おつりがくるんです。よく行くからサービスもしてくれる」と、何とも庶民的だ。

 食欲だけではない。おしゃれにも気を使っている。写真撮影の時に、手にしていたセカンドバッグを預かったら、それはルイ・ヴィトンの新品だった。スーツに小粋な帽子をかぶり、ネクタイもピンク色だったが、それもよく似合っている。スーツを買うのは新宿の伊勢丹だそうで、「行けば、いろいろ買ってしまって」と苦笑するが、食欲があって、おしゃれであることが、老けない秘けつかもしれない。

 11月にも末広亭で上席(1~10日)と下席(21~30日)に出演を予定している。末広亭に行けば、元気な米丸さんに出会えます。