左腕開放骨折でスーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」(11月25日まで、東京・新橋演舞場)を休演中の市川猿之助(41)が30日、夜の部のカーテンコールで、サプライズ登場した。舞台に立つのは、今月9日の事故以来、ちょうど3週間ぶり。

 カーテンコールで、猿之助の代役を務める尾上右近(25)が花道を指さすと、猿之助が右手を挙げながら、スッポンと呼ばれるセリから登場した。悲鳴のような歓声が起こり、観客が一斉に立ち上がった。

 「ワンピース」のTシャツに、黒いコート姿。けがをした左腕は黒いアームホルダーでつるし、手の甲からは白い包帯がのぞいていた。言葉はなかったが、右手を挙げたり振ったり、サムアップしたりと、満面の笑み。舞台中央に向かうと、休演中を守ってくれている出演者に深々と礼をした。隣にいる右近は涙をこらえきれなかった。

 拍手はやまず、2度目のカーテンコール。舞台中央の猿之助は笑顔で手を振り続けていた。この日は10月公演の千秋楽とあって、観客に元気な様子を見せ、出演者、スタッフを激励した。

 9日のカーテンコールで、花道のセリから降下時に、衣装の左袖が昇降装置に絡まって救急搬送された。関係者によると、骨折は数カ所で、粉砕骨折の箇所もあったという。完治までには半年近くかかるとみられていた。

 公演は翌10日から尾上右近が代役でルフィとハンコックを演じている。10日の開演前と幕あいには、猿之助のボイスメッセージが楽屋に流され、出演者にエールを送り、復帰を誓っていた。10月公演の中日である18日には、直筆の手紙で出演者、スタッフをねぎらっていた。

 公演は31日の休演日をはさんで、11月公演が続く。