吉本興業の大崎洋社長(64)は22日、大阪市北区の大阪市役所で、大阪市との包括連携協定を発表し、吉村洋文大阪市長(42)と締結式に臨んだ。

 大阪の「地盤沈下」を嘆きつつも、一方では「苦しいときこそ、すごい芸人が出てくる」と言い、ダウンタウン級のスーパースター再来への期待感も口にした。

 「吉本は、小さな寄席を手に入れ、大阪の皆さまと歩んで105年。でも今、大阪は地盤沈下している。今が正念場。日本第2の都市と言うけど、ホンマにそうか? 大阪は食事がおいしい言うけど、じゃあ東京ではどうや? おいしないか? そんなことないやんか」

 大阪の武器をもっと磨き、アピールしなければ、個性すら失われるのではないか-。

 締結式後、取材に応じ、今抱える懸念を示した。大阪が持つ個性のひとつは、もちろん、お笑いだ。そのお笑いを通じて、大阪市、地域を活性化し、25年大阪万博誘致へ向けてアピールしようというのが、今提携のねらいでもある。

 その流れの中で、出てきた“故郷”“本拠地”の地盤沈下問題。ただ、大崎社長の心には同時に期待感もふくらむ、

 「でもな、底へ沈んだ方が、大阪は、すごい芸人出してる。しんどいとこから、すごい芸人が出てる」

 大崎社長といえばかつて、若手専用の心斎橋筋2丁目劇場を開き、ダウンタウンをブレークさせ、テレビでも往年の人気番組「4時ですよ~だ」をスタート。ダウンタウンの才能を高く買い、スターへと押し上げた人でもある。

 松本人志、浜田雅功は、ともに「大阪でも神戸でもない」兵庫県の尼崎市出身。異質な漫才の才能、高速テンポの掛け合いといったしゃべりの腕だけではなく、かつては工業地帯だった同市出身ゆえの「下町感」「ハングリー精神」も、出世への大きな材料となったことは間違いなかった。

 大崎社長はそれゆえ「しんどいときこそ、スターが出る。しんどい場所からこそスターが生まれる」との法則を持っており、ダウンタウン級スターの再来、そして「大大阪復活」へ期待を語っていた。