「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(15日公開)

 唯一の劇場試写会となった11日夜のTOHOシネマズ新宿のアイマックス上映を見た。

 シリーズ最新作はエピソード8、新3部作では第2部となる。旧3部作でもこの位置の「帝国の逆襲」(80年)が今でもシリーズ最高傑作と言われていて、起承転結の承転の部分はやはり一番面白い。

 前作でヒロイン、レイ(デイジー・リドリー)は苦難の末に旧3部作の主人公にしてジェダイ(正義の守護者)最後の生き残りとなったルーク(マーク・ハミル)の元にたどり着いた。

 帝国軍の残党、ファースト・オーダーが勢力を拡大する中で、なぜルークは立ち上がらず、隠遁(いんとん)生活を続けているのか。劣勢が続くレジスタンスは壊滅の危機を逃れることができるのか。強大なフォース(生命体エネルギー)を持つがゆえに暗黒面に落ち、ファースト・オーダー側となったカイロ・レン(アダム・ドライバー)は旧3部作のダース・ベイダーのようになってしまうのか…。

 前作が投げかけた多くの疑問に答が用意され、それが想像していたのとは微妙にずれていくところにこの作品の妙味がある。

 大抜てきの前作からアクションのキレにうなったリドリーは、表情にも落ち着きが出てフォースの目覚めを実感させる。

 前作では特別出演のようなお目見えだったハミルは実質的な主役である。SW以外はあまり作品に恵まれていなかった分だけ、30年ぶりの久々感が年輪を浮き彫りにし、今作の仙人的立ち位置にピタリとはまる。

 ドライバーはマスクを取る場面が多く、演技巧者ぶりを存分に見せつける。この3人が光と闇、正義と悪の間を行き来するところがドラマ部分の見どころだ。ルークが住む孤島を立体的に使った光と闇の描写に息をのむ。

 通算8作目ともなると、宇宙船の巨大さや空中戦には新味を感じにくいが、殺陣に忍者的なアレンジが施されたり、広大な地上戦ではシリーズで邪悪を象徴する「赤」が差し色になったり…4歳でSWに出会ったライアン・ジョンソン監督は抜け目がない。

 これが遺作となったキャリー・フィッシャーは悲しいほど落ち着いている。レイア姫の気品を宿した60歳の美しさ。ジョンソン監督が「驚異のパフォーマンス」と評したことは決して大げさではない。

 ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン…新顔はそれぞれ個性を発揮しているが、誰もが正義と悪の間を劇画的に生きるシリーズで、べニチオ・デル・トロの人間くささが印象に残った。

 スカイウォーカー家の血脈と正邪の葛藤を2本の柱にしてきたシリーズで、ジョンソン監督は前者の色合いを薄め、後者のほうに重心を寄せている。創始者ジョージ・ルーカスが構想した全9部作の先に、彼が任された新たな3部作の方向性を示唆しているようだ。

 興趣を削ぐので詳述しないが、エピソード9に向け、前作以上の課題を残して終幕はやってくる。再来年の次作公開を指折り数える日がまた始まる。【相原斎】