18日発売の「週刊文春」で看護師女性の不倫疑惑を報じられた、音楽プロデューサー小室哲哉(59)が19日、都内で引退を宣言した。小室は質疑応答の中で、自身がプロデュースした安室奈美恵(40)が17年9月20日に、18年9月16日をもって芸能界を引退すると発表したことに影響を受けたかと聞かれ「自分もすてきな形で身を引ければと思った」と無念をにじませた。会見の主な一問一答は、以下の通り。

 -引退が頭に浮かんだのは?

 小室 (引退が頭に)もたげたのは耳鳴りが消えないから。音楽が作れないわけではないですが、体調が非常に悪くなった。(17年)8月ですね。一般的な定年だと…それくらいですね。

 -音楽生活で1番うれしかったこと、つらかったこと

 小室 (うれしかったことの)1番は難しい…いろいろな方のヒット曲を、歌っているのを垣間見たことかな。1番、辛いのは今日です。

 -(看護師女性)A子さんには愛情はあった?

 小室 作詞でも愛という言葉を使うことは多いですが、あまりに、広すぎて…。KEIKOには最初、恋愛感情ではなく、アーティストへの愛情だった。結婚してからの愛情、病気になってからも無償の愛というか…いとおしいという愛の文字でも(言葉の対象になる)1人の人でこれだけ意味がある。(関係の)短い期間で(A子さんへの感情の意味を)限定するのは難しい。

 -安室の引退で影響はあった?

 小室 安室さんの引退宣言は非常に…理解は、すぐ出来ました。美学というか。海外ではマイケル・ジャクソンであったり、プリンス…僕と同世代の(アーティストの)他界とは違いますが、すてきだと思った。自分も、すてきな形で身を引ければと思った。

 -芸能活動、制作以外にテレビへの出演などの活動もしない?

 小室 何までが許されて、何までが許されないか正直、自分の中で判断できていない。何1つ、個人的に反応を聞いていないので、線引きが全く分かっていないですね。お騒がせした償い=退くということしかないです。

 -引退後、幸せになろうという気迫は持っている?

 小室 皆さんの前でお話しするエネルギーだけで精いっぱいです。1人になった瞬間、涙があふれ出るのか、何てことをして…言ってしまったかと後悔する可能性が正直、十分にある。悔いなしなんて言葉が、一言も出てこないです。この日にちと、この環境だから、悔いなしという言葉が出てこない。勇退という環境なら、悔いなしと言えたのかな? 遅かれ早かれ、と言うのが精いっぱい…女々しく涙ぐむ日が来るんだなと思っています。

 -引退後もファンと、つながりは持ちたい?

 小室 僕はバンドを続けて、ドームまで行ったというのじゃないので(ファン層は)不特定多数。どういう方が僕の曲を良いと言ってくださるか分からないですが、(インターネット、SNSが普及している)こういう時代ですから、声を聞いてみたい。「生き恥さらしても音楽作れよ」という声が何割、あるか? 数字で如実に出てくる。数字に従いたい。

 -未発表の作品について

 小室 完全な体調ではないながらも、良い環境で音楽活動が出来た。発表させていただけるなら、自分の中の基準を超えた曲はあると思います。

 -今後の日本の音楽業界へ

 小室 これから、若い方達の音楽業界の進め方は、どうしても欧米が先に進み、引っ張っていく環境。ネットの使い方を勉強し…欧米がV字形で盛り返していると聞いている。沿った活動をされればいいんじゃないかと思う。米なら20代のラッパーが引っ張っている。非常に参考になるのではないか。

 小室は会見の最後に、あらためて思いの丈を語った。

 小室 たった1人の言動で日本、社会が動くとは全く思ってはいませんが…何となくですが高齢化社会、介護の大変さ、社会のストレスであったりとか少しずつ、この10年で触れてきたと思うので、こういうことを発信することで、皆さんも何かいい方向、幸せになる方向に動いてくれたら良いと心から思っています。微力ですが。少しでも響いたらいいなと思います。

 小室は集まった取材陣を前に「ありがとうございます」と2度言い、5度頭を下げて会見場を後にした。そして部屋を出る扉の前でも2度、礼をして退出し、午後2時44分に会見は終了した。会見時間は1時間37分に及んだ。【村上幸将】