今夏、神戸・新開地に開場予定の上方落語協会第2の演芸場「喜楽館」の名称をめぐり、桂文枝会長(74)が知人女性に名称を応募させる不正疑惑が浮上した件について、同館を運営する「新開地まちづくりNPO」の高四代(たか・よんだい)理事長(70)が23日、取材に応じ、名称変更は「考えていない」と話した。

 疑惑は、文枝が、昨年不倫疑惑が持ち上がった56歳女性に対し、自らが希望する「喜楽館」と記して公募に応募するよう求めたというもので、22日発売の「週刊現代」が報じた。

 高理事長は「公募前後から名称決定にいたるまでの間に、(文枝と)喜楽館という名前がいいとか、その名前を出したこともない」と言い、選考過程についても不正はなかったと強調した。

 名称は公募され昨年5月末に締め切り。同8月上旬に高理事長と文枝が選考して決め、助成金を受けた兵庫県、神戸市に報告後、同半ばに発表していた。

 1046通の応募の中から、最終選考に「喜楽亭」と「喜楽館」を残すことで、両者の思惑が一致。文枝が「(大阪の天満天神)繁昌亭は『和』。こっち(神戸)はチャプリンゆかりでもあり、『洋』のイメージでいきたい。繁昌亭とは一線を画したい」と言い、双方納得して「喜楽館」に決めたという。

 高理事長も「昔あった『聚楽館』に近い名前」として名称を気に入っており、文枝は故桂米朝さんが書き残し、繁昌亭高座の上に掲げられる「楽」の字を入れたい思いが強く、命名に至ったようだ。これらのこともあって「今後、名称を変更することは考えていない」と明言した。

 また、「喜楽館」の応募者は計5人おり、複数いた場合は、その中から「命名代表者」を抽選することになっていたため、高理事長が抽選にあたり「たまたま、その女性の分を引いた」と明かした。その際、文枝からその女性が知人だという話は出なかったという。

 事務局によると、5人全員に命名記念品のグルメセットを送っており、住所不定などで返送されることもなかったといい、代表となった女性には別途、喜楽館への入場券を同送していると説明した。

 高理事長は、公募から命名、記念品発送まで「NPOとしては後ろめたいことは何もないし、ルール上、なんら問題はなかった」と強調。すでに、報道後の疑惑について、県や市にもあらためて経緯を説明し、報告しているとした。

 ただ、名称選考にいたるまでの公募期間中に、文枝が当該女性に応募を依頼したか否かについては「確認していない」とし「万一、そういった事実があったらモラルは問われることになるでしょうね」と話した。

 昨年末、文枝と女性との不倫疑惑が報じられた後、高理事長は、文枝と連絡をとり、今年1月4日、神戸で文枝が舞台出演した際には直接面会。その際、文枝は騒動を謝罪したといい、今回、喜楽館命名をめぐる問題が浮上すると、文枝は「迷惑をかけた。喜楽館のことは一生懸命、応援するから」と言い、あらためて謝罪したという。

 今回の疑惑をめぐり、兵庫県側は「地域振興のために(助成金を)役立ててもらうもので、名称に関しては、NPOに一任している」としている。