俳優大杉漣さんが、21日午前3時53分、急性心不全のため亡くなった。66歳だった。

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 「きのうは休みだったんで、サッカーを見に行ったんです」。14年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会前、優勝予想の取材をした。「どこの試合ですか?」と言うと「福島(ユナイテッド)です」。朝、ふと思い立って電車を乗り継ぎ、途中で駅弁を買い、チケットを買ってJ3の試合を観戦したという。

 多忙な身でJ3までと驚いたが「日本代表から草サッカーまで、何でも見ますよ。河川敷でずっと見ていることもある」。音楽やカメラなど趣味人としても知られるが、やはりサッカーは特別。「本当に好きなんです」。強面(こわもて)なんてとんでもない。キラキラ輝くサッカー少年の顔で言った。

 「J1も、J3も、カテゴリーは違ってもサッカーは同じです。それぞれの立場で、一生懸命やってるのがいいんですよね」。名バイプレーヤーらしい言葉だった。W杯を「チームや選手のバックボーンまですべて楽しめる」と言っていた大杉さん。6月のW杯も天国から存分に楽しんでください。【荻島弘一】