21日に急死した大杉漣さん(享年66)を病室でみとった松重豊(55)が25日、都内で行われた北野武監督(71=ビートたけし)が審査委員長を務める「東京スポーツ映画大賞」授賞式に出席した。松重は大杉さんを含む映画「アウトレイジ 最終章」の出演者5人で助演男優賞を受賞した。

 大杉さんは、松重も出演しているテレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ」の収録を終えて食事を済ませた後、宿泊先のホテルで異変を訴えた。連絡を受けた松重ら共演者がタクシーで千葉県内の病院に搬送したが、そのまま帰らぬ人となった。授賞式という場もあって、最期の様子などについて触れることはなかったが、「こんな晴れやかなところに一緒に立てるんですね、という喜びを、つい4日ほど前に千葉の海で(大杉さんに)言った。本当に残念です」と言い、倒れる直前のロケ現場でこの日のことについて語り合っていたことを明かした。

 受賞者でもある大杉さんは仕事の都合で欠席予定だったが恩人の北野監督に感謝の気持ちを示したいと、23日にビデオメッセージを収録する予定だった。

 松重は、92年の映画デビュー作「地獄の警備員」(黒沢清監督)の現場で大杉さんと出会った。エキストラにも出演者にもスタッフにも分け隔てなく接する姿に心を動かされた。演劇青年だった自分が、映画界にも足を踏み入れる決意を促してくれた。後年、大杉さんについて「映像の中で生きる俳優の在り方を学んだ。ずっと背中を見続けていた。この道を信じていけば僕も役者を続けていけるんじゃないかと思った」と話していた。

 大杉さんが常連の北野作品に出演できたことは大きな喜びだった。この日は「漣さんは、湿っぽいことが嫌いなので、前を向いてみんなで頑張っていきたい。漣さん、これからも日本の映画を、僕たちを見守ってください」と呼び掛けた。