山田洋次監督(86)の新作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」(5月25日公開)完成披露試写会が22日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、夏川結衣(49)が西村まさ彦(57)から100本のバラの花束を贈られた。

 劇中で、夏川演じる史枝は、西村演じる平田家の長男の夫・幸之助、育ち盛りの息子2人、橋爪功(76)と吉行和子(82)演じる義理の両親との3世代で暮らす中、家事の合間にうたた寝をして泥棒に入られ、冷蔵庫に隠したへそくりを盗まれる。幸之助から「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と言われ、史枝は不満が爆発し家出。一家の切り盛り役を失った平田家は大混乱する、物語を受けた演出だった。

 夏川は、演じた史枝を通して、主婦業について「家事は自分のためにするんでですけど…(史枝は)スーパーマダムで完璧な主婦。あらためて大変だなぁ…お金に換算したら月、すごい給料をもらえると思います」と語った。

 一方、西村は司会から普段、家事をしているかと聞かれると「掃除はしますよ。食事も、簡単なものだったら自分で作ります。でも、比じゃないですよ。奥様は24時間…ずっとスイッチがオンのまま。大変だと思いますよ」と劇中の役どころとは正反対に、全国の主婦をねぎらった。

 16年に女優のマイコと結婚した妻夫木聡(37)は「僕もチョコチョコしますけど掃除は任せちゃう。皿洗いや食事は、ちょっとやりますね」と笑みを浮かべた。

 妻夫木演じる次男の妻を演じた蒼井優(32)は「うちの母は、こうやってくれたんだと客観的に見られることは少ない…ありがとうございましたと言いたい」と母に感謝した。

 中嶋朋子演じる平田家の長女の婿を演じた林家正蔵(55)は「(実生活は)女性が強い家庭なので、言いなりです」と言い、観客を笑わせた。

 「妻よ薔薇のように-」は、山田監督にとって「男はつらいよ」以来20年ぶりの喜劇映画として製作され16年3月に公開された「家族はつらいよ」のシリーズ第3弾。同監督の12年「東京家族」で一家を演じた俳優8人が再集結し、橋爪功演じる平田家の父周造と吉行演じる母富子の、熟年離婚騒動に揺れる一家の喜怒哀楽を描いた。17年5月公開の「-2」では、熟年離婚を乗り越えた周造が、運転免許を返上させようとする子どもたちとせめぎ合う姿を描く中で、現代社会で問題となっている無縁社会とも向き合った。

 山田監督は今作について「『東京家族』を含めれば3作になりますが、どうも西村、夏川夫婦に、大きな問題があるな、どうにかしなければ…と。『もし作るなら夏川君、君が大変だよ』と言った。結果的に主婦が抱える…依然として女性差別が多い、この国を念頭に置いて作ったんです」と語った。この日は西村、夏川、正蔵、妻夫木、蒼井が、観客にバラを配りながら登壇。壇上では全国の妻をたたえた。【村上幸将】