アルツハイマー型認知症のため4月27日に死去していたことが分かった女優でタレント朝丘雪路さん(享年82)の夫で、俳優津川雅彦(78)が20日、東京都内で会見し、亡き妻への思いを「感謝してます。すべてに感謝してます」と語った。

 45年間、連れ添った最愛の妻との別れから3週間。津川自身も肺炎を患っており、会見も体調を整えるため、約7分、遅れて始まった。車いすに乗り、鼻には酸素吸入のチューブを着けて現れた。会見場所に着くと突然、いすを降りて歩き始め、関係者が慌てる一幕もあった。時折、少し苦しそうに、息を思い切り吸い込む様子を見せた。体調を心配する報道陣には「大丈夫じゃないね。こんな格好して大丈夫だって言ったらうそになる」と正直に明かし、約10分間、質問に答えた。

 朝丘さんの死に目には間に合ったというが、「声を掛けられるような状態ではなかった」と、臨終の瞬間を振り返った。1人娘の女優真由子(44)も立ち会い、「一緒にいて、『ママ』って呼んでいた。返事はしないですけどね」と明かした。

 朝丘さんは14年、真由子がプロデュースした舞台で津川と共演したのを最後に、仕事からは遠ざかっていた。一時は別居していたが、朝丘さんのアルツハイマーが進行した3、4年前から、再び同居していた。亡くなる数カ月前には、津川のことを認識していたか微妙だったようで、「俺と分かっててしゃべってたのかな」と寂しそうに語った。

 津川も体調不良を抱えており、周囲の手を借りながらの介護生活だった。「周りがよくやってくれましたよ。僕が先に死んで、彼女を残すよりは、いい結果になりましたよね」。長年、連れ添った津川にしか言えない言葉で、朝丘さんの死を受け止めた。

 73年、大恋愛の末に結婚した。朝丘さんにとっては再婚で、津川は「不倫ですからね。どんなっていうか、熱があったということです」と懐かしんだ。「奥さんが朝丘さんで良かったか」と聞かれると、「そうですね」と答えた。