第10回伊丹十三賞を受賞した歴史家の磯田道史氏(47)が24日、都内で行われた贈呈式に出席した。

 磯田氏は受賞スピーチを「この賞は分野の壁がない賞で、貫いているのはボーダーレスだと思います」と切り出した。「古墳を見ていても縄文時代は上下関係がそれほどないけど、有る時期から、内と外がハッキリ分けられている。あなたとは違うと壁を作った」とし、「例えば日大の件にしても、相手の関学大の選手も同じアメフト選手だという考え方ができれば、あのタックルは生まれなかったと思う。国にしても、同じ人間が目に見えない国境線を引いて、敵になると核兵器も落とせる。これを避けるのはボーダーレスだと思う」と力説した。

 同賞は、デザイナー、俳優、エッセイストや映画監督など、さまざまな分野で才能を発揮し、時代を切り開く役割を果たした人および作品を表彰している。昨年は星野源(37)、一昨年は、今年のカンヌ映画祭で最高賞となるパルムドールを日本人として21年ぶりに受賞した是枝裕和監督(55)が受賞している。

 故伊丹十三氏の妻で女優の宮本信子(73)は、贈呈式で賞金100万円を授与した。「おめでとうございます。力強く、一生懸命キラキラ話している姿を拝見させていただきました。過去10回受けてくださったみなさんも素晴らしい人たちですが、磯田さんはすごくせっかちな人で、私はうれしかったです」とコメントした後、乾杯の発声を行った。