役所広司(62)が、手段を選ばない捜査でやくざと向き合う刑事を演じ、暴力団と警察の激しい戦いを描き、話題の映画「孤狼の血」(白石和弥監督、公開中)の続編の製作が決まった。配給の東映が25日、発表した。

 「孤狼の血」は作家・柚月裕子氏の同名小説を映画化した。暴力団対策法が成立する直前の1988年(昭63)の、広島の架空の都市・呉原を舞台に、役所演じる呉原東署の大上章吾巡査部長と、松坂桃李(29)演じる広島県警本部から赴任した大学出のエリート刑事・日岡秀一刑事がコンビを組み、広島の巨大組織・五十子会系の「加古村組」と地場の暴力団「尾谷組」との抗争、報復合戦の収拾、解決に奔走する姿を描いた。

 やくざの抗争をはじめとした過激なシーンの連続で、菅原文太さん主演の「仁義なき戦い」シリーズをはじめとした、東映黄金期の実録やくざ映画をほうふつとさせる作風に「新たな東映やくざ映画の金字塔」との声も出るなど、専門家筋では公開前から評価が高かった。また「警察じゃけ、何をしてもええんじゃ」と言い張り、手段を選ばない大上の捜査手法に疑問を抱く日岡が、その真相を知っていく物語が織り込まれた、深いストーリー性も評価を高めている。

 続編は柚月氏が原作の続編小説「凶犬の眼」をベースに映画化する。東映は「孤狼の血」の製作陣、キャストの続投を熱望しており、既に調整に入っているという。役所と柚月氏、東映の多田憲之社長がコメントを発表した。

 役所 続編は、第1作をはるかに超えるいい作品を期待しています。今後、いろんな監督、脚本家、俳優たちが、このジャンルの映画で魅力が発揮される時代が来ると、日本映画に活気が出るのではないでしょうか?

 柚月氏 「荒磯に波」の東映△マークを見るだけで、心が震えました。続編は望外の喜びです。持てる力全てを注ぎ込んでくださった 東映とスタッフ、劇場に足を運んでいただいた観客の皆様には、感謝の言葉しかありません。あの狂熱と恍惚(こうこつ)を、再び期待しております。

 多田社長 「孤狼の血」は東映らしい作品となりました。このジャンルの映画を続けていかなくてはならないと思い、続編の決定を致します。