お互い、独身時代が長かったから、何でも話すようになってゴルフも一緒に行った。君が車で迎えに来てくれて、僕がおにぎりとみそ汁を用意して「夫婦か?」なんて言い合って。「秀樹、結婚するから」って言った時の驚いた顔を忘れない。

 2月に僕が披露宴をする時に「おめでとう」と君に握手を求められた瞬間、僕にはすぐ分かったよ。あっ、コイツ結婚するって。案の定、5カ月後、結婚した。秋も深まったある日、妻が「もしかしたら子どもが出来たかも」って言い出し、驚いた僕は「明日、病院に行って検査してもらおう」って話した時、君から突然の電話。「五郎、まだ誰にも言ってないんだけど、俺、子どもが出来た」。生まれてみれば、同じ女の子で誕生日は6月3日、僕の家は5日。まじかよ、これ。当然、娘たちの初節句、ひな祭りも一緒に祝ったよね。

 3年前、秀樹の還暦パーティーの時、サプライズでケーキを持ってステージに出させていただいた時の、秀樹のビックリした顔。今でも忘れられません。さかのぼること、44年前、1974年。この年、僕が「甘い生活」でレコード大賞歌唱賞を取れると下馬評だったけど、君の「傷だらけのローラ」が受賞。もちろん、君は欲しかった賞だし、当然うれしかったと思う。

 でも、君は僕の前では喜んだりしなかった。僕を気遣ったんだと思う。それから2年後、2人で受賞したよね。その時は握手して2人で抱き合った。そして40年後。還暦パーティーで僕が「抱いていいか」と言ったら「何だよ」と言われたけど、そんな君を、僕は抱き締めた。君は僕のことを一瞬、抱き締め返そうとした。その時、君の体の全体重が僕にかかった。それは僕にしか分からない。心の中で「秀樹、大丈夫だよ。僕は大丈夫だからね」とそう思った。それと同時に僕の全身が震えた。こんなギリギリで立っていたのか。こんな状態でファンの皆さんの前で立っていたのか。そこまでして立とうとしていたのか。何ってすごいヤツだ。

 彼の大きさに驚いて一瞬、頭が真っ白になって、サプライズで来ているのに「西城秀樹です」ってファンの皆さんに彼を紹介してしまった。天真らんまんという言葉がぴったり。僕はこれまでに会ったことがない。何ごとにも真っすぐで、前向きで、おおらかで、出会う人全てを魅了する優しさと、全てを受け入れる潔さとたくましさ。そんな君を慕う後輩が、どんなにたくさんいたか…僕はうらやましかったよ。

 僕もひろみも秀樹の代わりになれないけど、まだしばらくは頑張って歌うからね。お前の分も、歌い続けるからね。そして、君を慕ってくれた後輩たちとともに、僕らの愛した秀樹の素晴らしさを語っていこうと思います。何よりも君を愛し、支え続けたファンの方々とともに。秀樹、お疲れさま。そして、ありがとう。もう、リハビリしなくていいからね。もう、頑張らなくていいから。君のかわいい子どもたち、家族をいつまでも見守ってあげてほしい。そして、お前の思うラブソングを天国で極めてくれ。秀樹、お疲れさま。そして、ありがとう。