大の猫好きで知られる女優柴咲コウ(36)が、来年公開の映画「ねことじいちゃん」(岩合光昭監督)で、約3年ぶりに映画出演することが27日、分かった。映画出演は、16年1月公開の「信長協奏曲」以来。すでに今春、愛知・佐久島で撮影が行われた。

 同作は小さな島を舞台に、人々と猫の日常を描いた物語。世界的な動物写真家岩合氏が初監督し、人気落語家立川志の輔(64)が初主演する。柴咲は「『初めて』に出会えるのは1度きりしかない。2つもある『初めて』を、現場をともにして体感したい」と、2人の初挑戦が決め手になったとした。

 猫への思いは強い。柴咲は「わが家は家族全員、猫を飼っていて、みんな保護猫」と明かす。「何せ猫が好きなので、猫と楽しく毎日を過ごすように撮影ができたら最高だなと思った。実際その願いの通りになり、とても楽しい撮影でした」と振り返った。

 柴咲は、都会から移住してくるヒロインの美智子を演じた。人間も猫も魅了する役どころは柴咲そのままで、岩合監督、志の輔、出演猫たち皆を引きつけた。

 岩合監督は「初監督の私を素晴らしい演技力で助けてくれましたし、猫との撮影でも助けられました。この映画の光となってくれた」と感謝。志の輔は「凜(りん)と立って、一言一言、言葉がすっと心に入ってくる芝居をされる。私のひざの上に座っていた(主人公の愛猫)タマが、柴咲さんが来たとたんに彼女の方へ行こうとするんです。オスですし、きれいな女性が好きなんでしょうね。タマを少し憎く思った瞬間でした」と、猫もあらがえない魅力を語った。

 柴咲にとって昨年主演したNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」後、初めての映像作品にもなった。「本当に豊かなこととは何か、これからの歳の取り方を前向きに考えさせてくれるメッセージがちりばめられている」と話している。

 ◆ねことじいちゃん 大吉(志の輔)は2年前に妻に先立たれ、飼い猫のタマと暮らしている。幼なじみや友人、たくさんの猫に囲まれ穏やかな日々を送っている。都会から移住してきた美智子(柴咲)が開いたカフェは、お年寄りや猫が集まるいこいの場所。変わらぬ毎日の中、友人の死や体調の不調など、小さな変化が訪れる-。原作は、ねこまき氏によるコミックエッセー。単行本4巻で累計28万部を超える人気作。