世界3大映画祭の1つ、第71回カンヌ映画祭(フランス)コンペティション部門で最高賞パルムドールを受賞した、是枝裕和監督(56)の「万引き家族」大ヒット御礼舞台あいさつが14日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。

 この日は、17日に迫った父の日を前に、劇中で万引きで生活費を稼ぐ一家の父・柴田治を演じたリリー・フランキー(54)に、息子の祥太を演じた城桧吏(じょう・かいり=11)から手紙を、治が家に連れ帰り娘として育てたゆりを演じた佐々木みゆ(6)からは似顔絵をプレゼントされた。

 リリーは、冒頭のあいさつ時に、佐々木に何度も耳打ちした。その内容を聞かれると「さっきから『別にって言ってごらん』って言ったら『嫌だ』って」と明かして笑った。佐々木は、リリーの言うことを聞かず「来てくれてありがとうございます」と無難にあいさつした。

 またリリーはイベント中、佐々木に「ここに来る前、夕方のニュースで、みゆの特集やってたよ。『目標は樹木希林さんみたいな、不動産たくさん持ってる女優さんになるって言っていました』って言っていました」と突っ込むと「や~め~て~く~だ~さい」と“イヤイヤ”された。

 その後、リリーは城と佐々木からプレゼントを贈られた。城が「もう1人の優しいお父さんが出来たようで、いつも現場に行くのが楽しみでした。リリーさんのような、おしゃれで、優しくて、面白くて、演技の上手な俳優になるのが、僕の夢です。リリーお父さん、大好きです」と手紙を読むと、リリーは「ちょっとジーンときましたね」と感激した。ただ「俺がお年玉50万、やったことは書いてない?」と突っ込むと、「その件ですが、もらっていません」と即、否定されて苦笑した。

 また、佐々木から「一昨日、リリーさんにもらったペンで描いて」と感謝されつつ、絵を贈られると「俺が仕事が使っているペンをあげたんだけど、俺より使いこなしている」と絵を何度も見つめた。「まだ漢字、習ってません!!」と言う佐々木が書いた「万引き家族」の字を、感慨深げに見つめた。

 リリーは撮影を振り返り「この子たちが現場にいるので、みずみずしい。子どもがいることの喜びとか、わずらわしさをストレートにぶつけてきてくれるので、一緒にいる時、お芝居をやらせてもらっているし、助けてもらった」と言い、笑みを浮かべた。

 「万引き家族」は、リリー・フランキーと安藤サクラ演じる夫婦を中心に、万引きなどの犯罪でしかつながれなかった家族を描いた。家族をテーマに映画を作り続けてきた是枝監督が、親が死亡したのを隠した家族が年金を不正に受給した詐欺事件に触れ、2016年に着想を得て製作した。

 舞台あいさつには高良健吾(30)と山田裕貴(27)も登壇した。【村上幸将】