1987年(昭62)に漫画誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載が始まり、累計発行部数1億部を誇る人気漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の、誕生30周年を記念した集大成となる、漫画家・荒木飛呂彦氏(58)の個展「荒木飛呂彦原画展 JOJO-冒険の波紋-」記者発表会が21日、東京・国立新美術館で行われた。国立新美術館での漫画家の個展は、手塚治虫氏以来28年ぶり2人目で、現役の漫画家としては初めてのこととなる。

 荒木氏は「連載から30周年となるもので、集大成です。国立新美術館という場所で開催できることは、まことに光栄。国の文化として協力できるなら、ものすごくうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

 目玉は、国立新美術館でしか見ることが出来ない、展覧会のために書き下ろした大型の新作原画だ。実物大のキャラクターと、キャラクターが操るスタンドが、それぞれ12体、描かれるという。荒木氏は「2メートルくらいの大型の原画で実物大のキャラクター、170センチなら170センチで描こうと思った。12枚のキャラクターとスタンドが描かれている。同じ場所に存在している、という目的で描きました」と説明した。

 中学生以下は無料となる。その意図について、荒木氏は「中学生以下の方は無料。ぜひ見ていただきたい。(雑誌の)印刷と原画は違う。作品には努力、勝利は描かれているけれど違う発想…絵を書く時の考え方を若い人の勉強、将来の仕事の考え方にお役に立てたい。それが、僕の密かな野望。漫画のイベントなので楽しく見てもらえたら、うれしい」と、次世代の日本を支える中学生以下に、刺激を与えたいと熱望した。

 国立新美術館では、8月24日から10月1日まで開催されるが、大阪文化館・天保山で11月25日から大阪で初となる巡回展が行われることも決まった。そして東京会場、大阪会場に向けた書き下ろしのビジュアルも公開された。東京展は第3部「スターダストクルセイダーズ」の主人公・空条承太郎とスタンドのスタープラチナ、大阪展は承太郎最大の敵ディオとスタンドのザ・ワールドが描かれた。

 荒木氏は「自分の中のキャラクターでは最強の空条承太郎と、月とザ・ワールドと描いたディオ…悪役が大阪というのは関係ない。2枚組として描きました。(日本画には)風神、雷神の2枚組の発想がある。ディオも大好き…神格化されているので象徴としてはいいのかな? 対称的に善悪ではありますけども、1つの神格化したキャラクターとして描きました」とビジュアルの狙いを説明した。

 また第5部「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」がアニメ化され、10月から放送されることも発表された。【村上幸将】