松岡修造(50)が8日、都内で、著書「弱さをさらけだす勇気」(講談社)の発売を記念してトークショーと握手会を開催した。

 6月28日の発売から反響を呼び、初版1万部から現在は5万部まで増刷されている話題の著書。テニス選手として過ごした時間と、引退後キャスターになりトップアスリートへの取材を通して気がついた「弱さ」との向き合い方がつづられている。

 松岡は開口一番、「基本的に皆さんは松岡修造のとらえ方を間違えている。松岡修造は本当に弱い」と指摘。「錦織圭選手、羽生結弦選手など、人は弱さが魅力。どのように強くしていったかが書いてあります。弱さがあるから強くなれるんだ、と伝えたかった」と執筆意図を明かし、「読んだ方が、弱い自分を好きになってくれたら」と話した。

 どんな人に読んでほしいか問われると、「はっきり言えることは、強い人は絶対に読むな!」と主張。「強い人」の代表として女子レスリングの吉田沙保里をあげ、「メンタルトレーニングという言葉を彼女から聞いたことがなかった。弱さを引き出そうとしても、彼女の中にはなかった」と舌を巻いた。その後、リオ五輪で涙を流したことについて言及し「初めて弱さを見せた。ああいう自分に初めて出会ったんだと思う」と見解を述べた。

 この日、テニス・ウィンブルドンで16強入りを果たした錦織圭の指導歴がある松岡。ウィンブルドンはコートが芝だが、錦織はかねて「自分は芝に向いていない」と、松岡に打ち明けていたという。「今日はウィンブルドンに対しての弱さが強さになった。最高のプレー。優勝を目指していい。組みあわせも最高。錦織選手は芝を制した」とベタ褒めし、「とりあえず、俺の(ウィンブルドンでの最高成績)ベスト8を抜け!」とメッセージを送った。

 ワールドカップを戦ったサッカー日本代表についても、「弱さを強くした奇跡」と称賛。「(大会前、監督解任などについて)みんな好き勝手言っていたけれど、選手は『そうだよ』と、弱さをさらけ出した。それによってチームが1つにまとまった。あんなに勇気をもったチームは今までになかった」と、前評判をくつがえして大健闘した侍ジャパンをたたえた。