女優吉永小百合(73)が10日、東京・池袋の新文芸坐で開催中の「第7回新藤兼人平和映画祭」に出席し、トークイベントを行った。

 朗読などを通じて、核廃絶や平和を訴え続けてきた吉永は「『戦後』を未来まで続かせていかないといけない。そのためには、平和でいい時代でいいねと黙っているのではなく、口に出してみんなで平和をつくっていくことが大切。1人1人が考えて、発言して、行動したいと考えています」などと語った。

 吉永は8日に亡くなった沖縄県の翁長雄志知事(享年67)を悼み「沖縄の犠牲があって、こんなに繁栄して何不自由なく生活できているような気がします」と話した。主演映画「あゝひめゆりの塔」(68年)について「自分を見失ってしまうくらい打ち込んで、すべてのシーンで同級生役の方たちと泣いて芝居をしました」と振り返った。

 吉永は長い間、申し訳ないという思いもあって、仕事以外で沖縄へ”遊びに”行くことができなかったという。「この夏に、仕事はまったくなしに、自分の旅行として行きました。ひめゆりの塔や資料館に行ってお参りをしたり、普天間基地や辺野古にも行きました。辺野古は言葉を失うくらいきれいな海でした。沖縄の方たちの痛みをずっとずっと分かっていなければいけない、と思いました」などと語った。

 「新藤兼人平和映画祭」の今年は、戦争や原爆によって平穏な暮らしを奪われた女性たちを描いた作品が上映されている。この日上映された吉永の主演最新作「北の桜守」は、終戦後にソ連侵攻で樺太を追われ、過酷な人生を生きた女性が描かれた。

 「北の桜守」は吉永にとって120作目の出演映画となった。吉永は「もう少し映画人として、映画俳優としてやりたいと思います」と、今後への意欲も語った。