フジテレビの7月期の連続ドラマ「絶対零度」(月曜午後9時)と「グッド・ドクター」(木曜午後10時)が好調だ。

 視聴率は「絶対-」は初回から10・6%、9・6%、10・8、11・7、10・4、10・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。「グッド-」は11・5、10・6、11・6、10・6、12・2%と、全て2桁をキープしている。

 トレンディードラマ全盛期からのフジテレビのドラマを知る身としては、これくらいで喜んでいる場合じゃないのだけれど、負のスパイラルにピリオドを打ったような実感がする。

 好調の原因は、2つのドラマともに「らしくない」ことだ。「絶対-」はおよそ、フジテレビの看板枠「月9」らしくない。主演が月9初主演の沢村一樹(51)だから“らしくない”。恋愛ものじゃなく刑事ものだから“らしくない”。ちょっと見には、テレビ朝日のドラマなのかと思ってしまう(笑い)。

 「絶対零度」なのに、上戸彩主演じゃないのも“らしくない”。本田翼(26)がアクションを見せるのも“らしくない”。意外な魅力に満ちているのが好調の原因だ。1話ごとに事件は解決するのだが、次へと興味をつなぐ展開も、翌週も見たいと思わせるところだ。

 そして「グッド・ドクター」。主演の山崎賢人(23)が、イケメン“らしくない”のがいい。イケメンの山崎が、自閉症でコミュニケーション能力に難があるが、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群の青年医師を熱演している。ひとつ間違えると大失敗になるのではと危ぶんでいたのだが、第1話の試写を見た時に、杞憂(きゆう)に終わったことを確信した。

 恥ずかしながら50代も半ばになると、あまたいる20代のイケメン俳優の区別が、パッと見ではつきにくくなっているのだが、山崎は分かるようになった(笑い)。

 そして上野樹里(32)。「江」でNHK大河ドラマに主演したほどの大女優なのだが、ここ数年はぶっとんだイメージが先行しすぎていた。今回は“らしくない”落ち着きある先輩医師役を好演している。一昨年5月にロックバンドTRICERATOPSのボーカリスト和田唱と結婚して以来、初の連続ドラマ。これからも期待大だ。

 10月期の月9は、ある意味“らしすぎる”織田裕二(50)が主演の「SUITS/スーツ」。フジのドラマが、本当に復活し始めたのか見極めたい。