元モーニング娘。のタレント吉沢ひとみ容疑者(33)が6日、東京・JR東中野駅前の山手通りで、酒気帯び状態でひき逃げをし、2人にけがを負わせる事故を起こし、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ、酒気帯び運転)の疑いで、警視庁中野署に逮捕された。仕事現場へ車で向かう途中だった。

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11年前の2007年(平19)1月、吉沢は当時16歳だった最愛の弟を交通事故で失った。都内で自転車に乗っていたところ、自動車にはねられるという痛ましい事故だった。救急車が到着した時には外傷性の心肺停止状態。事故直後の吉沢は、周囲と会話ができないほど大きく泣き崩れ、憔悴(しょうすい)し切っていた。

事故の3日後には、「モー娘。」卒業をファンに報告するステージが控えていた。所属事務所は、傷心の吉沢をおもんぱかって欠席させる意向を示した。だが、責任感が強い吉沢は「予定通りに出演したい」と、リーダーの責任を通した。前日まで泣き続けた目を化粧で隠し、ステージは笑顔で通し続けた。

吉沢はそれほど責任感が高くプロ意識の高いタレントだ。しかも、交通事故の被害者側のつらい心情や悲しみを誰よりも知っている。にもかかわらず、今回は加害者になってしまった。しかも酒に酔っての運転で、一切の言い訳が通用しない。

長男は2歳になったばかりで、ものごころがつくころ。起こしてしまったことはあまりに重い。