壇蜜(37)が、小泉今日子主演映画「食べる女」(生野慈朗監督)に出演している。

8人の女性を通して「食と恋愛」を描いた1本で、「おいしいご飯を囲んで、身も心も元気になって、いい女になっていい恋をしよう」と前を向ける作品だ。年齢とともに変化してきた“いい女”の定義と恋愛観を聞くと、壇蜜の魅力の源泉が見えてきた。

◆「面倒くさくない、お金をそこそこ持ってる女」

-壇蜜さんにとっていい女とは

壇蜜 昔はいい女って、パッと見の姿形だと思っていたんです。ところがそれじゃあ、自分に当てはめたときに勝負できないと思って、消去法で物を考えるようになったら、「面倒くさくない、お金をそこそこ持ってる女」というのしか、最近思い浮かばなくなってきて。ちょっとでも好きな人に相手にされるために、ちゃんと自分の土俵で、自分のふんどしで戦える人のことを「いい女」と言うんじゃないかって、最近思うようになりましたね。

-そう考えるようになったのはいつ頃

壇蜜 20代後半、女であることである程度の優遇をしてもらっていた時代が終わって、感じ始めたんでしょうね。このままでいても、すがるような生き方になっちゃうんだろうなって。就職や恋愛、人に甘えることが難しくなってきたと感じたとき、若さとか女性であることに甘えていたのかな? と感じました。若い女だからちやほやされるのに慣れてきた自分を客観的に見て、嫌だな、と。

-壇蜜さんが考える「いい女」でいるために意識していることは

壇蜜 人付き合いも恋愛も、弱っている人を狙うようになりました(笑い)。自分の土俵は、人を助けるとか、人が前向きに生きるための補助要員になること。自分以外に大事にできる人がいることで、発揮できる物があると気づいたので。『1番が自分』じゃないほうが生きて行きやすい。

◆「短い人生で培った理想なんてたいしたことない」

-「いい女」の変化とともに、恋愛観は変わったか

壇蜜 私がどうにかできる、とは考えないようにしました。仕事熱心な人を『振り向かせる』とか、遊び人を『一筋にさせる』みたいなことは、もう無理だって思ったので。恋愛は、私の鍋が割れてから、とじぶたみたいな人がいればいいかな、と。ないものを求めるようになりました。

恋に夢見ちゃってたのが、徐々に冷めてくる感じでしょうかね。理想を満たす、自分の好みの人だと思って近づいても、振り回されたり良いようにされたりで、ちっとも自分を大事にできなかったんですね。好きになる人と、付き合っていい時間を過ごせる人は違うんだって、気づいたのかも。どうせ短い人生の中で培った理想なんてたいしたことないんだから、早めに忘れてしまった方がいい。

-今、相手に最も求めるものは

壇蜜 私が生きている中でも努力目標にしているんですけど、「融通を利かせて、融通を受け入れる」。好意と厚意をキャッチボールできる人がいいなと思います。

◆「仕事ってのは手放しちゃいけない」

-劇中ではシングルマザーを演じた。

壇蜜 母で妻、仕事もする人としてパーフェクトな姿を持っていたはずなのに、旦那さんはその姿がまぶしくてしんどかった。結果選んだのは言葉がカタコトの、頼りない感じの海外の女性だったけど、そういうことってあると思うんですよ。けれど、どんな目にあっても、仕事ってのは手放しちゃいけないなあというのは感じました。そこに自分の母だったり、己の身を投影しました。

-さまざまな仕事を経験してきたが、今後の仕事はどう考えているのか

壇蜜 今は1人で考えるような立場にはなく、決める権限を返上している状態なんですね。私は芸能事務所に属しているタレントとして仕事を全うする。できること、できないことは全て事務所の人間が把握する。その上で事務所の人間が、自分も私も食べていくために方向性を決める…っていう、集団作業だと思うんですよ。何年先のことは分からないけど、1カ月、2カ月先のことがしっかり分かってる状態を続けていけば、気づいたら10年、20年たってる。まあ、将来的にはマネジャーが車5台くらい持って、別荘を持っていたら、結果として私がうまくいってるってことの表現になるのかな(笑い)。