女優川栄李奈(23)が25日、都内で初主演映画「恋のしずく」(10月20日公開、瀬木直貴監督)の完成披露舞台あいさつに出席した。

川栄はリケジョの大学生役で、好きでもない日本酒の醸造所への実習で、日本酒の奥深さを知っていくという役どころ。昨年、東広島市西条で行われた撮影では、連日のように共演者たちと日本酒を飲んでいたという。こたつを囲みながらのだんらんだったが、「こたつを食べながら…」と言い間違えると場内に笑いが起き、劇団EXLIEの小野塚勇人(25)から「偏食家ですね」と突っ込まれていた。

蔵元を演じた大杉漣さん(享年66)が今年2月に死去し、映画では今作が遺作となった。大杉さんとそりが合わない息子を演じた小野塚は、「話したのは、最初のあいさつの時くらい。役柄では仲が悪いという関係性もあり、『大杉さんの方から距離感を置いてるんだよ』と、小市(慢太郎)さんに教えていただいた」と、大杉さんの背中から役作りの教訓を感じ取ったことを明かした。

対照的に川栄は「撮影場所の縁側で、2人でひなたぼっこをして、撮影を待っている間に写真を撮っていただいたりしました」と、ほっこりエピソードを披露した。さらに「同じシーンで、自分のことより人のことを気に懸けてくれていた。役としてもやっぱり周りに1番気を配ってくれたのがうれしかったです」と思い出を語ると、うっすらと目に涙を浮かべた。

作品はオリジナル脚本。瀬木監督が日本中の酒蔵を渡り歩き、東広島市西条をロケ地に決めた。「駅前に7つの蔵がある。あの旅情はあの街にしかない。美観地区というか、テーマパークのようじゃなくて、住宅もあって、生活と一体化したすばらしい街です」。今年7月には西日本豪雨で、撮影で使った酒蔵が被災した。監督はスタッフら40人とボランティアに行ったという。川栄も「(撮影で)使わせていただいた酒蔵も被災したと聞きました。この作品で、東広島のきれいな風景や皆さんの温かさ、その方たちの思いが伝わればいいなと思います。作品に込めたスタッフさん、監督さん、私たち、大杉さんの思いがスクリーンから伝われば」と願っていた。

ほか中村優一(30)が登壇した。