先月24日。東京ドームにアニメソングを歌う歌手、通称アニソン歌手が一同に集まるコンサート「KING SUPER LIVE」を取材しました。

今回で3回目、東京ドームの後には、上海と台湾でも開催する。レコード会社キングレコードに所属するアニソン歌手たちの祭典でした。

一般的に最も知名度が高いのは、NHK紅白歌合戦に出演した水樹奈々。かつては、バラエティー番組の人気者だった森口博子…ぐらいでしょうか。ほかには、ジャニーズアイドルばりの人気を誇る宮野真守や、今人気上昇中の蒼井翔太や、上坂すみれなど。

アニソンに興味のない方々なら、宮野以下の歌手は、顔も名前も知らないかもしれません。でも、その世界では、まさにオールスターの面々です。ドームは超満員札止め。ライブは約5時間の長時間でしたが、最初から最後まで大熱狂の空間でした。

アニソンに全く疎い私には、世代がドンピシャの森口博子の1980年代のデビュー曲にして、ヒット曲「機動戦士Zガンダム」の主題歌「水の星へ愛をこめて」は、テンションが上がりました。当時は、アイドル歌手としてデビューしたわけですが、あらためて50歳になってその歌声を聞いても、抜群にうまい。実力のともなった歌手デビューだったことを再認識するとともに、いまだに当時と同じ高音で歌えていることに感心させられました。

アンコール最後の曲は、アニソンにして、日本のカラオケで最も歌われてきた曲「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」。歌い手のベテラン高橋洋子が、ほかの全出演者と一緒に大合唱するという大団円でした。この辺になってくると、「知ってる、知ってる」という人たちも多いかと思います。私にも親しみ深いフィナーレでした。

さて、そんな感じで、ほとんどの歌手の名前と顔が一致していなかったわけですが、総じて皆さん、歌唱力がハンパない。世間で売れていると言われるアイドル歌手や、シンガー・ソングライターなどJポップ歌手よりも、全然歌唱力は上。しかも、1人や2人ではなく、全員がです。終始知らない楽曲ばかりなのに、ずっとその歌声に引き込まれてしまいました。

さらに驚きだったのが、ファン(観客)のマナーの良さです。世間的には、アニソンとアイドルのファンは、一緒にまとめて「オタク」と呼ばれます。ですが、コンサートを楽しむ姿は、大分違いがありました。

アイドルファンは、大勢のアイドルグループが出演するアイドルフェスなどでは、自分の応援するアイドル以外の出演タイムは、応援をしなかったり、退席したりと、あまり興味のない様子になります。ところが、アニソンファンは、どの歌手が出ていようと、同じように熱い声援を送り続けていました。キングレコード関係者に尋ねると「アニソンファンは、アニソンというジャンルに誇りを持っていて、ファン同士がぶつかったり対立したりすることが、ほとんどないのです。アニソンというジャンルを盛り上げたい、楽しみたいという連帯感があるようなんです」と解説してくれました。

完全に初心者でしたが、何だか胸熱になりました。森口博子は「アニソンは、日本が世界に誇る文化です。世代も国境も越えられるものです」と胸を張っていました。海外ファンは、国内以上に熱狂的だそうで、次回はぜひ、海外公演を目的にしてみようと思っています。