ジャーナリスト柳沢秀夫氏(65)を取材する機会があった。9月末にNHKを退局後、大手芸能事務所ホリプロに所属し、現在はテレビ朝日系情報番組「ワイド! スクランブル」(月~金曜午前10時25分)にコメンテーターとして出演している。

インタビュー経験の少ない記者は「NHK出身のジャーナリスト、65歳」という肩書に少し身構えていたが、話してみれば好奇心旺盛、親しみやすさにあふれたおじさんだった。

元々は記者出身。キャスターとして初めてテレビに映ったのが「ニュースウオッチ9」だった。最初は渋ったと言うが、上司に説得され「人生やって後悔するかやらずに後悔するか。好奇心が旺盛だから受けたんですね」。

その後は朝の情報番組「あさイチ」に出演する。「同じようにちゅうちょしたけれども、昔言われたことを思い出して」と再度引き受けた。司会を務めた有働由美子アナ、V6井ノ原快彦との初顔合わせを振り返り「話してみれば、ポスター撮りの日から5分としないうちに経歴も年代も違うのに意気投合しちゃって。ウマが合うってこういうことかな」と笑った。

芸能分野には明るくなく、「あさイチ」時代はゲストで訪れる有名芸能人にドギマギ。「でも身近で話をすると『きれいさ』の前には血のにじむような努力があると見えてくる。『芸能界』ってレッテル貼りして眼鏡かけて見ちゃいけないなって。1人の人間として見た時に、何が見えてくるか大切にした方がいいと思えるようになってきた」と凝り固まらない。

「ワイド!-」でも芸能の話題を取り上げるが、「単にスキャンダルとか人気がどうのこうのっていうこととは違うものが見える気がしたら、それって面白い」と意欲に満ちていた。

ホリプロ所属についても「そこで何が出来るのか、頭の中で思い描くことは出来なかった」と振り返る。しかし「『ウオッチ9』やった時もそうでしたし、『あさイチ』やった時もそうで、自分が知ってる世界は限られていて、もっともっと知らない世界がある。今まで知らない世界を知るって言うのは素晴らしいこと」と知らないことひるまず、常に前向きにとらえていた。

インタビューで一貫していたのは「新しい世界を遠ざけない」というフレッシュな姿勢。挑戦した先でいつも何かを得て、レベルアップしているようだった。新しいことに飛び込む勇気を忘れているかも、と反省すると同時に、やる気をもらってインタビュー部屋を後にした。