フジテレビ系連続ドラマ「SUITS/スーツ」(月曜午後9時)で、主演の織田裕二の同僚でライバルの弁護士、蟹江貢を演じているのが俳優小手伸也(44)だ。今年4月期の同局系ドラマ「コンフィデンスマンJP」の連ドラ初レギュラーで注目され、今回の作品でその個性を存分に発揮している。ニッカンコムでは、3回にわたって掲載するインタビューで、シンデレラストーリーとも言えるブレークの裏側に迫る。

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小手の44歳でのブレークは「コンフィデンスー」への抜てきがきっかけだった。脚本を担当した古沢良太氏がNHK大河ドラマ「真田丸」やテレビ朝日系「オトナ高校」を見て注目し、神出鬼没の腕利き詐欺師、五十嵐を演じることになった。

「最初の企画書には『国籍不明のイケメン』とあったらしいんですが、オーディションを3回やっても決まらない。それで拡大解釈して『パーツは整ってる』『声だけはイケメン』ということで滑り込みました」

連ドラ初レギュラーで長沢まさみ、東出昌大、小日向文世に次ぐ4番手を務めた。レギュラーは実質この4人だけだった。

「長沢さん、東出さん、小日向さんと名前が書いてあって、次に自分の名前があった。他にも俳優さんが出るかと思ったら『出ません!』。冷や汗が出ましたね。まさか、そんな…格差がひどすぎる。僕だけが何もない、どこの馬の骨かも分からない。そんな人間が、急にそんな共演者に囲まれてレギュラーになっていいのかなと思いました。相当プレッシャーがありました」

学生時代から演劇を始め、98年から劇団インナー・チャイルドを主宰するなどキャリアはある。

「確かに舞台は20年以上やっているけど、映像はちょっと違う。映像は苦手意識があるんです。目の前でお客さんの反応があると、分かりやすい。お客さんとの対話の中でお芝居ができるんです。だけど、目の前がテレビカメラだったりすると、どこに向かってお芝居するのか分からなかった。今はなんとか頑張れるようになりました」

「SUITS」でも織田、中島裕翔、鈴木保奈美らを相手にして大活躍。織田、中島、鈴木に負けない存在感を放っている。

「『コンフィデンス-』で初めて連ドラのレギュラーになって2回目。いつまでも初々しさを売りにはできない(笑い)。いつまで“シンデレラおじさん”というキーワードを引っ張るんだ、みたいなところもあるから相当頑張らなきゃいけない。織田さんを、ずっと見ていた世代で、エキストラのバイトで、生まれて初めて見た芸能人が織田さんでした。だからドリームですよ。すごく楽しいですね」。

夢は始まったばかりだ。

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◆小手伸也(こて・しんや)1973年(昭48)12月25日、神奈川県生まれ。俳優、脚本家、演出家。早大教育学部卒。早大時代に早稲田大学演劇倶楽部に所属。98年から劇団インナー・チャイルドを主宰。01年フジテレビ「HERO」。03年舞台「コミックジャック」。05年映画「星になった少年」。08年フジテレビ「アナ★バン」で、キャラクター「太陽さん」の声、映画「不灯港」主演。16年NHK大河「真田丸」。血液型B。