俳優鈴木亮平(35)が15日、西郷隆盛役で主演を務めるNHK大河ドラマ「西郷どん」(日曜午後8時)が16日の放送で最終回を迎えるにあたり、NHKを通じ文書でコメントを発表した。また、ナレーションを担当し、西郷菊次郎役の西田敏行(71)、島津斉彬役の渡辺謙(59)も同様にコメントを示した。

鈴木は「長い撮影期間の中で、本当にその人間を生きることができる作品は、大河ドラマ以外にはないと思います。特に西南戦争のシーンでは『これ、神様が見て許してくれるのかな』と思うくらい壮絶でしたが、1人の人生をここまで時間をかけて追体験できたことは貴重な体験でしたし、とても幸せな時間でした。人が生きること、何十年もかけて人生を全うすることはすごいことだと、あらためて感じました」と大河主演の感想を記した。

また、今後の俳優人生に「『この人間の人生を本当に生きている』という感覚を大切にしながら、これからのすべての作品に向き合っていきたいです。『西郷どん』をさらに超えるものを今後作っていきたいと思いましたし、『西郷どん』がこれからの1つの指針になりました」とした。

最終回には「すごく温かく明るい回になっています。鹿児島の城山で、西郷さん、そして最後のラストサムライたちが、この国にどういう思いを託して散っていったのか。そして、彼らの死を通して皆さんが、それぞれの人生をどのように生きていくのかについても考えさせられる回になっています。そして『西郷どん』がみなさんの心の中に生き続けていただけたらうれしいです」とPRした。

一方、西田は「大河ドラマを経験した役者は『1年は長かった、大変だった』と言いますが、主役を演じる役者は特に大変だったと思います。ただ、この達成感は他の現場では味わえない達成感です。亮平くんはその達成感を胸に秘めながら、次のステップを踏むための準備をされていると思います。亮平くんのもっている素晴らしいポテンシャルをどんどん発揮し、次のステップ、大きなステージを踏んでいただきたい」と鈴木の健闘をたたえた。

さらに「私も役者仲間ですので、亮平くんのそのときのお仕事に加えていただけるよう、役を1つくださいね(笑い)」と鈴木に呼びかけた。自身については「語りの私にもちょっぴり『お疲れさま』みたいなことを言っていただけたらうれしい」とした。

また、渡辺は「西郷どん」はクランクアップ後も見ていたと紹介。「鈴木が『今、いい感じで迷ってるな、壁に当たっているんだろうな』というところが垣間見えたし、それこそが大河ドラマ。『悩め、悩め』と親戚のような感覚で見ていました」とした。鈴木に対しては「彼が積み重ねてきた努力と、キャストやスタッフを引っ張っていくエネルギーで約1年3か月を乗り越えたので『よくやった』というより『俺の目に狂いはなかった』ということ。鈴木の顔つきが回を重ねていくにしたがって変わっていきましたが、それは大河の主役をやる上での使命。年と経験を重ね、表情、目の奥、心の奥にある物の変化に視聴者は心を奪われる。それはよくやったと思います。斉彬としては、ですよ(笑い)」と鈴木の奮闘と成長をたたえた。

最後は「これから先、思い悩むことが良い意味で増えていくと思いますが、それは経験した者しか味わえない。十分苦しみ、十分悩み、今後も頑張ってほしい」と鈴木への親心のような思いを示した。