今日16日に63歳の誕生日を迎えたフォークシンガーの松山千春が、来年1月25日のデビュー42年目のデビュー記念日にDVD「松山千春コンサート・ツアー2018『弾き語り』」を発売する。

9月に47年の歴史を閉じた地元・北海道の札幌ニトリ文化ホールでのラスト・コンサートを収録した。デビュー以来、全編を“弾き語り”で演奏した渾身(こんしん)の内容となっている。

同ツアーは今年4月に発売した北海道をテーマにしたカバー・アルバム「北のうたたち」を携えての“弾き語りツアー”だった。埼玉・越谷を皮切りにギター1本で全国18都市(全22公演)を回った。今回のコンサート映像は、札幌のニトリ文化ホールで行われたファイナル公演を収録している。

同ホールは、71年に北海道厚生年金会館としてオープン。2400人収容人数は“北海道最大”だった。しかし、08年に札幌市が入札、ネーミングライツで10年からニトリ文化ホールの名称となっていた。

千春は「旅立ち」でデビューした77年8月8日に初めてのコンサートで同ホールのステージに立った。以降41年間、毎年、春と秋のツアーを欠かさず行ってきた。

地元イベント関係者によると、既に2600本を超えるコンサートを行っているが、その中で同ホールでの使用回数は「百数十本はやっている」と言う。「2番目のアーティストが四十数本ですから圧倒的。全国の厚生年金会館が消えて行く中で、名称が変わっても、このホールが残って来たのは、千春の思入れに、周りが共鳴したからだったのです」。

まさに、千春にとってはコンサート活動の原点、まさに“聖地”ともいうべきホールだったわけだ。

しかし、そのホールも9月で閉館、建て壊されることになった。「俺にとっては一番最初に立ったホールだったからな。いろいろな思い出が残っているよ。まさか、こんな日がくるとは思わなかった」。

そう言った中で、千春はギター1本で全国を回った。“弾き語りツアー”はデビュー以来41年ぶりだった。「フォークシンガーとして原点に戻ったものにしたかった」という。そして、万感の思いの中で迎えたのが同ホールでのファイナル(6月27日)だった。

また、今年が“北海道”と命名されて150年目に当たったことも、今回のコンサートに反映した。カバー・アルバム「北のうたたち」では、北島三郎の名曲「風雪流れ旅」をはじめ、高倉健が主演作した「網走番外地」、バーブ佐竹の「ネオン川」、さらには、旭川育ちの藤圭子のヒット曲「夢は夜ひらく」、そして、トワ・エ・モアが歌った札幌オリンピックのテーマ「虹と雪のバラード」など「北海道にゆかりのある楽曲」ばかり5作品を千春が選りすぐった。コンサートでは、その中から「風雪流れ旅」と「網走番外地」をギターの弾き語りで熱唱している。

同ホール閉館後、札幌市の文化芸術の新たな拠点としてテレビ塔脇に「札幌文化芸術劇場」がオープンした。キャパは2300席と、現在のニトリ文化ホールに比べると、やや少ないが、北海道では新たな音楽の発信基地になる。24、25日には同劇場で秋のツアーのファイナルが行われる。

◆DVD収録曲

【第1部】

1 君のために作った歌

2 あたい

3 銀の雨

4 恋

5 電話

6 燃える日々

7 純~愛する者たちへ~

【第2部】

8 伝言

9 網走番外地

10 風雪ながれ旅

11 ガリレオ

12 生きている

13 途上 

14 真っ直ぐ

【アンコール】

15 青春2

16 長い夜

17 大空と大地の中で

18 炎