商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)で10日、本殿参拝の一番乗りを競う恒例の「開門神事福男選び」があり、約5000人が参加した。トップの「一番福」は広島県福山市の消防士、山本優希さん(22)が勝ち取った。「二番福」は兵庫県西宮市の吉本のピン芸人、伊丹祐貴さん(30)、「三番福」は兵庫県加古川市の玉暉(たまき)活也さん(23)だった。タレント初? の福男に伊丹さんは「みなさんに福と笑いを届けたい」と意気込んだ。

午前6時、大太鼓の音が鳴り響き表大門が開かれると、くじで決まった先頭グループの108人が飛び出し約230メートル先の本殿を目指し、境内を走り抜けた。

伊丹さんは3回目の挑戦で初めて先頭グループを決めるくじ引きに参加した。くじ番号は「4」。最前列からスタートダッシュを決め、「一番福」の山本さんに少し遅れて、本殿に駆け込んだ。

参加者から「ふっくおっとこ」のコールで祝福され、宮司から認定証を受け取り、報道陣に囲まれると「芸人やっていても、こんなに多くの人に囲まれたことはない」と笑わせた。

昨年の漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」で史上最年少で王者になった霜降り明星の粗品(25)に「福男になる!」と宣言しての参加だった。粗品とは同期で親友。神戸市立科学技術高では陸上部に所属。400メートルリレーで全国大会にも出場した。400メートルの最高タイムは49秒56。Mー1王者にも負けない強運ぶり、健脚を発揮し、福男を獲得した。

昨年はお笑い芸人として苦難の年だった。昨夏には活動していたお笑いコンビ、ファイトクラブを解散し、ピン芸人になった。昨年12月には芸人としての収入がゼロになった。現在は吉本新喜劇で舞台に立つことを目指し、大阪市内の高級パン店でアルバイトしている。

大阪経済大を卒業後、芸人の道を選んだ。「だれに最初に福男を報告? おかあちゃんです。芸人になるとき反対はされなかったけど、心配された」と明かした。持ちネタを聞かれると、空港ネタを披露。「だれが羽田や、成田ちゃうで、伊丹やで!」。19年、異例の芸人・福男が笑いも届ける。