女優松井玲奈(27)が、4月5日に短編小説集「カモフラージュ」(集英社)を発売することが10日、分かった。昨年10月に、文芸誌「小説すばる」11月号で発表した最初の作品「拭っても、拭っても」をはじめ、新たな書きおろしを含む6編を執筆した。

NHK連続テレビ小説「まんぷく」で、安藤サクラ(32)演じる福子の親友役として出演する松井が、小説家としても才能を発揮することが決まった。「小説家になるぞ! っていう感じではなく、書く場をいただいたので挑戦しました」と謙遜するが、もともと多趣味で読書好き。2年以上前から、月刊「小説現代」で書評を連載するなど、“物書き”としての実績も着実に積み重ねてきた。

昨年5月、エッセー「心の毛玉の解き方」が、日本文芸家協会の「ベスト・エッセイ2018」に選ばれたことが、書き手として大きなポイントになったという。「自分の書いたものが、知らない誰かにちゃんと届いていると実感できて、初めてとなる物語を書く依頼にも、やるだけやってみようと踏み出せました」。

デビュー作は、恋愛小説からホラーまで多種多彩な6作品だが「裏の共通テーマとして、今まで自分が日常生活で感じていた違和感と、食を描くことにしました」。「拭っても、拭っても」では、駅で見かけた完璧に着飾った女性が、かかとに靴ずれのためのばんそうこうを貼ってることに感じた違和感が、物語の取っ掛かりになっている。頭の中の映像を言葉に書き起こす独特の感性や価値観が、小説の中に盛り込まれている。「私はしゃべることが得意じゃなくて、文字に起こして伝える方が合ってるのかなと思っています」。

女優でいながら、バラエティー番組では鉄道好きやマンガ・アニメ愛好家としても活躍中。マルチな才能を持つ松井が、新たな形で表現の場を広げていく。