82年に中森明菜が歌って大ヒットした「少女A」の作詞家・売野雅勇氏(67)と作曲家・芹沢広明氏(71)が13日、都内で「売野雅勇vs芹沢広明“80'を語りつくす”」と題したトークライブを開いた。

集まった150人を前に、売野氏は「『少女A』の時に初めて芹沢さんとお会いした。元々は違う曲がついてたんだけど没になって、僕の詞だけが残り、芹沢さんの曲がついた。あれから、僕、芹沢さん、そして中森明菜の運命が変わった」と振り返った。

バンドマン、ギタリストとして活動、CMソングを歌うなどしていた芹沢氏は「少女A」のヒットで作曲家として売り出していった。「それまでの年収が500万円くらいだったのが、5倍くらになった。初めて税理士のお世話になった。今日は売野さんに誘われて、嫌だって言ったんだけど、チケットが売れたっていうからきました」と話した。

2人はその後、チェッカーズの楽曲でコンビを組んで「涙のリクエスト」「哀しくてジェラシー」「星屑のステージ」「ジュリアに傷心」「あの娘とスキャンダル」など大ヒットを連発。互いに80年代を代表するヒットメーカーとなった。チェッカーズのプロデューサーも務めた芹沢氏は「チェッカーズも最初の頃は素直でかわいかった。(藤井)郁弥(現フミヤ)なんて、河口湖のスタジオで合宿した時、毎日のように僕の車を洗ってくれていた」と笑顔を見せた。

芹沢氏は売野氏が作詞して、郷ひろみが歌って大ヒットした「2億4千万の瞳」(作曲・井上大輔)について「歌詞に2億4千万というフレーズが入ってない」と指摘。売野氏は「あれはプロデューサーだった酒井(政利)さんが、その昔、(壺井栄の小説)『二十四の瞳』がヒットしたから、それで行こうと言い出した。日本の人口も1億2000万人だったしね。芹沢さんは厳しい人なんです。『ジュリアに傷心』なんて、駄目出しされて5回書いてますからね」。芹沢氏は「作曲家だの編曲家は、音符に歌詞を収めていくから数字に細かいんです」と話した。

芹沢氏は昨年、70歳で自ら歌う「Light It Up」で全米デビュー。ヒットチャートをにぎわせた。「最初はインドやメキシコのアイドルに歌わせるために作ったけどダメ。そこで、こんな風に歌ってほしいとデモテープを作ったら、それが気に入られて、CD発売になった。今年はアルバムを作ります」と意欲を見せた。

売野氏がプロデュースするロシア出身女性ボーカルユニットMax Luxが、2人が作詞・作曲した「ジュリアに傷心」「Song for U.S.A.」などを歌った。