12日に心不全で亡くなった女優市原悦子さん(享年82)の葬儀が18日、東京・青山葬儀所で行われ、中尾彬(76)池波志乃(63)夫妻ら約500人が参列した。

弔辞は市原さんの初主演映画「蕨野行」の恩地日出夫監督(85)。「市原さんと会ったのは、57年の映画『雪国』の衣装合わせで、原節子ら美人女優ばかりの撮影所で食傷気味だった私は、こういう女優さんもいるのかと思った。後年、そう話すと、『どうせ私は不美人ですよ』と笑ってました」と振り返った。

新人を起用する時、必ず市原さんが出演した。「泉谷しげるが吉展ちゃん事件の映画で初めて芝居した時も、市原さんがいなければ、彼を使う勇気はなかった。市原さんがいると甘えた気持ちがあるから、仕事ができた」と感謝した。

50年来の親交のある中尾も「あったかい肉まんのような人。ポカポカ色白でさ。でも、割ってみると、肉まんかあんまんか分からない」と女優として底知れない魅力を語り、「私は気に入らない女優も多いんだけど、えっちゃんは1番楽しい人でした」と称賛した。

市原さんが歌う「年老いた女役者の歌」が流れる中で出棺。夫塩見哲さんが眠る関東近郊の山奥の樹木葬墓地に埋葬される。【林尚之】