ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長(87)が、2020年いっぱいをもって活動休止する嵐に対し、感謝の気持ちを伝えた。30日、映画「少年たち」(3月29日公開、本木克英監督)の完成披露試写会前、日刊スポーツなどの取材に応じた。20年間トップを走り続けたメンバー5人をねぎらい、「いつまでもついていきます」とほほえんだ。映画には100人以上のジャニーズJr.が出演。嵐の後に続く、若手メンバーへの期待も語った。

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ジャニー氏は、嵐の活動休止発表を受けて、「あと2年間、頑張ってほしい。僕なんて、2年後はもういないかもしれないけどね」と冗談交じりに話した。「本当に、2年間頑張ってくれるだけで、すごくうれしいですよね」と感謝した。

20年前、ジャニー氏は5人の少年を集めて結成させたグループを「嵐」と名付けた。五十音で最初の「あ」と、アルファベットでも最初の「A」。「頂点を目指す」という意味を込めた。名前の通り、嵐は国民的アイドルグループになった。オリコントータルセールスランキング、人気投票、動員数…あらゆる指標でトップに立った。「当時はこの子たちはどうなっていくんだろう、と思ったけど、どんどん成長して、逆にこちらが教えられていくんですよ」と目を細めた。

今月27日、嵐は都内で会見を行い、活動休止を発表した。リーダー大野智(38)が涙ぐむ場面もあったが、5人それぞれが誠実に対応した。ファンに謝罪した上で、すっきりとした表情も見せた。ジャニー氏は「若い子は強いですよ。僕はみんな、尊敬していますよ」と5人の成長ぶりを喜んだ。「ものごとには限界があるけど、止まっちゃったら、そこが限界になっちゃう。そんな中で、20年もよく頑張ったと思います。20年頑張るって大変なことですから」とねぎらった。

ジャニー氏は、1962年(昭37)の初代ジャニーズ結成から、いくつものグループを手がけてきた。「20年間頑張って、しばらく休憩して、またやるっていうのは、いいと思う。僕が若い頃から、そういうのはありました」。66年に渡米し、全米デビューを目前にしながら帰国し、ほどなく解散した初代ジャニーズを例にあげ「ジャニーズにも『やめよう』と言われて、僕も『うん、やめようか』と言って日本に帰ってきた。みんな、そういう気持ちになる」と理解を示した。

嵐は17年6月から、何度も話し合いを重ねた上で活動休止を決めた。5人の決断を支持するか聞かれると、「当然ですよ」と即答した。「僕は、嵐についていきます。2年でも3年でも、いつまでもついていきますよ。当たり前です。みんなどんどん成長するから、僕はそれに従ってついていきますよ」。事務所を代表するグループに、あらためて感謝した。【横山慧】

◆ジャニー氏の過去コメント

ジャニーズ事務所では、16年末にSMAPが解散。昨年9月にはタッキー&翼が解散した。

SMAP解散直後の17年1月、ジャニー氏は「SMAPは頭文字をとると『すばらしい・メモリー・ありがとう・パワー』なんだよね。だから、終えちゃっていいんじゃないかなと思っています」と受け入れた。「悲しいことは悲しいけれども、メンバーが今後ますますそれぞれの世界を作り上げていくんじゃないかっていう期待はものすごくあります。だから、『SMAPありがとう』という気持ちです」と感謝した。

昨年9月には、タッキー&翼の解散を受けてコメントを発表。「彼らが考え抜き、大人として決断したことを尊重したいと思います」とした。芸能活動を引退しジャニー氏の意思を継いで裏方に専念すると発表した滝沢秀明氏(36)には「うれしくて涙がこぼれそうでした。このような決断をしてくれた滝沢には心より感謝しています」とし、メニエール病治療のため療養し、事務所退所を発表した今井翼(37)には「心身ともに健康となった彼がまた活躍してくれる日が1日でも早く来ることを心から願っています」と伝えた。