15年5月より「choa」という韓流誌を担当している。15年は第4週に毎月発行していたが、16年を境に、1カ月半、2カ月、2カ月半と発行サイクルが不定期で長くなってきた。

原因は、雑誌をけん引するスター不在というよりは、日韓関係の影響が大きい。最近では、元徴用工訴訟の判決をはじめ、韓国軍のレーダー照射事件などで関係が悪化。しかし、18年後半の「choa」にとってダメージが大きかったのはBTS(防弾少年団)の原爆Tシャツ問題だった。

BTSは、18年5月に韓国で発売したアルバム「LOVE YOURSELF 轉’Tear‘」がiTunesチャートで65の国・地域で1位。米ビルボード200でも首位を獲得と、ワールドワイドの人気を誇る男性7人組グループ。日本で18年4月に発売したアルバム「FACE YOURSELF」も発売初週で32万枚を突破した。18年11月13日から19年2月17日まで東京、大阪、名古屋、福岡のドームツアーを開催し38万人動員と、韓国出身アーティストのエース格にのし上がった。

「choa」も、人気にあやかろうとドームツアーリポートやメンバーへのインタビューを画策していたが、メンバーが原爆投下直後のキノコ雲が入ったTシャツを着ていた「原爆Tシャツ問題」ですべては水の泡に…。内定していた紅白歌合戦出場も消え、BTSを知らない人に知ってもらうチャンスも消えた。いまさら取り戻せないが、言動やファッションがどれだけの影響を及ぼすのかという、メンバーの自覚が足りなかった。

ネットにはBTSを初め、韓国出身アーティストや俳優のニュースであふれている。そして、コメント欄には、原爆Tシャツ問題や日韓関係悪化が影響しているのだろうか? 「韓国で活躍してくれ」「日本にこんなニュースは必要ない」「捏造(ねつぞう)韓流商法はもう通用しない」など”嫌韓“で埋めつくされている。あまりにもアレルギー過剰な反応に驚いたが、韓流誌を編集する者としてはかなり悲しかった。過去の歴史を変えることはできない。だが、個人的には一番近い外国である韓国といがみあってもしかたないと思うのだが…。

オーディション番組「PRODUCE48」から誕生したIZ*ONE(アイズワン)は日本人3人、韓国人9人の日韓合同女性グループ。オンエアで印象的だったのが「韓国の練習生はダンスも歌もうまいが個性に欠ける。逆に、日本の練習生はダンスと歌はイマイチ。でも、個性的でおもしろい。だから、その2つが融合したらどんな魅力的なグループができるか」というコメントだった。

今こそ、欠点に目を向けるのではなく、互いの長所を尊重しあい、思いやるときだと思う。