元吉本新喜劇の女優で往年のマドンナの山田スミ子さんが2月12日未明、兵庫県内の病院で、直腸がんのため亡くなっていたことが5日、分かった。所属事務所が発表した。73歳。葬儀は近親者で行った。

所属事務所によると、山田さんは、17年に母親が98歳で亡くなるまで10年間、女優業と介護を両立。「満身創痍(そうい)の介護」だった。母親の死去後、体の異変に気づき直腸がんの診断を受けた。病気判明当初、役者仲間には病気を伝えなかったという。

山田さんは「舞台のお仕事に穴をあけることはできない」と強く望み、病気を隠して仕事は継続。昨年は2月、8月にも、大阪市内で舞台出演しており、事務所担当者はこの日「(山田さんは)身内にも、泣き言1つ言いませんでした」と明かした。

それでも、今年に入ると体調が急激に悪化。主治医から「あと2~3カ月の命」と宣告されたが、山田さんは「最初は落ち込んだけど、はっきり言われてスッキリした」「私の人生に悔いはない」と受け入れた。

山田さんは宝塚映画の子役として活動し、68年に吉本新喜劇に入団。故花紀京さんや故岡八朗さんらの相手役マドンナとして人気を得た。コント番組「あっちこっち丁稚」でも、「あかんて言うてんのが、分からへんのんか」などとヒステリックに放つセリフが受け、新喜劇を代表する1人だった。

新喜劇を退団後は事務所を東京へ移し、NHK朝ドラのほかテレビ、映画、舞台などに多数、出演していた。【村上久美子】