宝塚歌劇団の月組新トップコンビ本拠地お披露目で、2番手スター美弥(みや)るりかの退団公演となる「夢現無双-吉川英治原作『宮本武蔵』より-」「クルンテープ 天使の都」が15日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。

16年9月に、近年では天海祐希(7年目)に次ぐスピードの9年目で月組トップに就いた珠城(たまき)りょうは、男らしさでは当代随一のトップ。天下無双の剣豪を熱演し、2代目相手娘役に迎えた美園(みその)さくらとの新コンビで本拠地へ初見参となった。

13年入団の美園は、武蔵をひたすら思い、追い掛けるヒロインお通を好演。セリフの裏にある感情や、芝居の流れの中での状況設定を綿密に追い、5年先輩の珠城に懸命に伴走した。

昨年11月、6年7カ月の異例長期在位だった前トップ娘役愛希(まなき)れいかからバトンを受けた美園。稽古期間中には「愛希さんがいたからこその月組でもあった」と痛感し、重圧と闘い、役作りに励んだ。

「珠城さんを信じて着いていく私自身の思いが重なります」とも話し、タイをテーマにしたショーでは、新コンビとして、キレのあるデュエットダンスでも魅了した。

月組は、新コンビ誕生とともに、5年後輩のトップ珠城を支えてきた美弥が今作で退団と、過渡期にある。細身の体で、クールで端正なルックスながら、熱くセクシーな踊り、人間味あふれる芝居心でファンを魅了してきた美弥は、トップ級の人気も誇る。

芝居では、トップ珠城演じる武蔵と相対する佐々木小次郎を演じ、持ち前の妖しく切ないオーラも放ち、本領を発揮。男役としては線が細く、これまで女役も経験した美弥だが、子供のころからの宝塚ファンで、誰よりも「男らしさ」を追求してきた。

美弥は、開幕前の取材に「剣一筋に生きた小次郎は、私自身の宝塚人生ともリンクしています」と話しており、男役16年の集大成を今作にぶつけている。ショーでは、男役の王道でもある黒えんび姿で、銀橋でのソロも歌い上げた。

宝塚大劇場公演は4月15日まで。東京宝塚劇場公演は5月3日~6月9日。美弥は東京公演千秋楽をもって退団する。