闇営業問題で謹慎処分中だったお笑いコンビ、雨上がり決死隊宮迫博之(49)の契約解消が19日、所属の吉本興業から発表された。 先月7日に雑誌「FRIDAY」が報じたことで発覚した闇営業問題で、宮迫自身が謝罪会見をして復帰への道筋をつける方法が模索されたが、自ら契約解消、引退する道を選択した。

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黒い交際発覚を機に表舞台から去ったケースは、11年の島田紳助さんと同じだ。ただ、紳助さんは暴力団関係者と知りながら交際し、最終的に引退を決めた。会見では「自分の中ではセーフ」「(世間的には)アウトと言われ認識の甘さを知った」などと主張した。

もともと芸人は、個人事業主のように、話芸とその腕を武器に興行を打ち、人気と名声を得ていった古い歴史がある。発展には、「応援」という形での反社会的勢力とのつきあいがついて回った。1舞台のギャラ250円の者もおり、比較的近年でも、多様な相手からの“援助”に頼り、鈍感になる面もあった。ただ、時代の流れで関係の清算を求められ、吉本興業も大崎洋氏がトップに立ち体質を改善してきた。

その過程で起こったのが紳助さんの一件。紳助さんはもともと、00年に「余力を残して隠居(引退)」した関西の名物芸人、上岡龍太郎さんを「トークの師」とあおいでおり、その引き際に感銘を受けてもいた。

宮迫の場合は、最近のコンプライアンスの厳しさと、黒い交際はNGと認識しながら、流されていった弱さが見える。後輩の面倒見の良さ、優しさが、優柔不断へとつながり、今回の件でも初動を誤り追い込まれた。脇の甘さと保身に走った思慮の浅さが、結果的に多くの後輩、吉本全体を巻き込んで「引責」となり、会見で説明する気力も失った。【村上久美子】