宝塚歌劇団理事で専科スター轟悠(とどろき・ゆう)が、キューバ革命の指導者を演じる月組公演「ミュージカル チェ・ゲバラ」は11日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで開幕した。主人公の盟友フィデル・カストロ役には、6年目の月組若手スター風間柚乃(かざま・ゆの)が抜てきされている。19日まで。

  ☆  ☆  ☆  

あごひげに口ひげ、アーミー服で銃を持ち戦う。宝塚歌劇異色の硬派作は、故春日野八千代さんの後継として、トップ退任後も劇団に残った轟が主演。轟は「ファッション的な軽い(素材の)物じゃなくて、本物の衣装。手りゅう弾をつけていたベストとか」と言い、演出の原田諒氏ともども、リアルにこだわって、舞台を作り上げてきた。

そんな「男役」の体現者、轟とがっぷり組み、盟友カストロに臨んだのが、14年入団100期生の風間。新人公演学年(7年目まで)の6年目ながら、卓越した演技力、動きこそ抑えても内面からにじみ出る感情表現など、若手では群を抜く芝居巧者。将来の月組を担う逸材の1人だ。

風間は幼い頃から「一人芝居で遊んでいた」と言い、昭和時代の映画、ドラマ映像が自宅に多くあり、それを見ることも多く、芝居に親しんで育ってきた。昨年は、大作「エリザベート」で、2番手スターの休演にともない、本公演でも主要キャストの狂言回しルキーニに抜てき。トップへの“出世役”を好演し、注目度は上昇の一途だった。

学年の離れた後輩を“相棒”に迎えた轟は「何年目とか、舞台に上がれば関係ない」と言い、風間ら後輩には「頭で考えるのではなく、心に響かせて動くこと」と叱咤(しった)激励してきた。すでに東京公演を終え、迎えた大阪公演。舞台の成熟度は日々上がっていく。