記事を書いていると、しばしば「表記ゆれ」に遭遇する。同じ言語やフレーズに、いくつかの書き方、表記があるケースだ。発売中の「乃木坂46新聞 真夏の全国ツアー2019全公演リポート」でも、制作中に「表記ゆれ」で悩んだことがあった。勝手に「乃木坂46表記ゆれ問題」と呼ばせていただくことにする。

特に今回多かったのは、乃木坂46の新キャプテンに就任した注目のメンバー、秋元真夏(26)の必殺技「ずっきゅん(ズッキュン)」の表記を巡る問題だ。

両手を銃のように構え、「ずっきゅん」とファンやメンバーのハートを打ち抜く。グループ内ではかなりポピュラーな技の1つで、秋元以外のメンバーも、ムチャ振りされたり、ファンからリクエストを受けたりして、披露したことが多々ある。

秋元にとっても、もはや代名詞のような技だ。今年5月にテレビ朝日系「徹子の部屋」に出演した際も、「徹子さんのハートに、ずっきゅん!」とためらいなくポーズを決め、むしろ自分自身のハートの強さが話題となった。ワカメ役として出演している舞台「サザエさん」の中でも、「ずっきゅん」を披露するシーンがあった。

だが実は、この「ずっきゅん」の表記がひらがななのか、カタカナなのか、いまだに定まっていないのだ。

筆者は、数年前に秋元本人を取材した際、公式はひらがなだと話していたようなおぼろげな記憶があった。さらに秋元のブログでもひらがなを使っていたことから、「ずっきゅん」が正式表記だと思いこんでいた。例えば14年2月17日の秋元の公式ブログのタイトルは「偽ずっきゅん」だ。

一方で、「ズッキュン」というカタカナ表記も、これはこれでよく見かけるのだ。17年3月発売のシングル「インフルエンサー」のLINEスタンプでは、秋元が「ズッキュン」という文字が。さらに、今年8月放送の「乃木坂工事中」内でも、秋元の不幸話として「ズッキュンの不幸」「ズッキュン問題」などとテロップに表示された。

いよいよ雲行きが怪しくなってきたが、ライブを訪れるファンのうちわなどには「ずっきゅんして」などと書かれていることもあり、やはりひらがな表記も根強いようだ。本人がブログで書いていることも踏まえ、総合的に判断し、社内でもさまざまな意見があったが、今回の「乃木坂46新聞」ではひらがな表記で統一した。

しかし、だ。このほど、秋元本人にあらためて確認すると、「ひらがなとカタカナ、どちらでもいいんですけど、どちらかと言えば『ズッキュン』ですね。カタカナです」という衝撃的な答えが返ってきた。

秋元自身、以前はひらがな表記だったことを認めた上で、「サインとかに添えて書く時、カタカナのほうがすらすらと書きやすかったので、自然とカタカナが増えていきました」という。確かによく調べてみると、16年9月30日のブログ「まなったんゲーム」では、「ズッキュン」と表記されている。

秋元は「『ずっきゅん』でも、間違いではないです。全然使っていただいて大丈夫です!」とした上で、「でも一応、今のところは『ズッキュン』ですかね」とあらためて話した。筆者も今後は、迷わず自信を持って「ズッキュン」とカタカナ表記で記事を書いていきたいと思った。

表記ゆれとの“戦い”は、まだまだ続いていきそうだ。【横山慧】